医療者の労働環境は、医療の質・安全に大きく影響する。例えば、Aikenら(2002)は、看護師の不足によって患者の死亡率が増加することを明らかにしている。安全で適切なケア提供のためには、患者のケアレベルを考慮した適切な人員配置が必須であり、ここにクリニカルパスの活用が可能であろう。つまりパスを適応する患者に対する労働負荷を、パスを参照することで予測することができ、さらに個々の患者に対する業務量を合計することで病棟全体の労働負荷を算出することができる。これにより、フロートナースの活用など組織全体の適切な労働資源の配分も可能になる。
医療者の労働環境の改善に際しては、様々な規制がネックになることが多く、この部分に対する政策レベルでの改革が不可欠であり、現場の声を適切に政策立案に反映できるような仕組みづくりを進めていく必要がある。