当院では、医療の適正化と標準化を目的として多職種から構成されるパス委員会を設置し、クリニカルパスの策定に取り組んでいる。パスの作成に薬剤師が参画することにより実現した薬剤の適正使用について報告する。
①抗菌薬の予防的投与を検討するため米国疾病管理センター(CDC)における手術部位感染防止ガイドラインを参考にした。現在消化器外科領域にて手術部位感染サーベイランスが行われており、平成15年1月から12月までで、9.2%の発症率であった。
②抗血小板剤の術前休薬について、文献やインタビューフォームを参考にした。休薬の記載がないものは半減期や作用機序をもとに指標を設定し、一覧表を作成した。パス開始時の抗血小板剤を含めた中止薬チェックの徹底が強化され、出血リスクの回避、休薬リスクの減少につながった。
③止血剤(carbazochrome sodium sulfonate Inj, tranexamic acid Inj)を予防的に術日から数日間投与するパスが多かった。出血の危険度や有効性を検討した結果、止血剤の使用を設定するパスを制限した。
薬剤師がエビデンスに基づき適正かつ安全安価な薬剤の使用法を提示していくことで、各科で薬剤の使用法にばらつきの見られていた事例が改善されつつある。医療スタッフの意識の統一化も図られ、効率的で質の良い医療の提供に貢献できた。
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