日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
看護師のクリニカルパスに関する意識と知識がバリアンス判断に及ぼす影響
―乳房切除術クリニカルパスに携わる看護師への調査から―
阿部 祝子西村 治彦東 ますみ佐藤 勉相馬 民太郎稲田 紘
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2006 年 8 巻 3 号 p. 205-213

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抄録

 クリニカルパスの実践運用にあたっては、医療チームの連携が必須である。なかでも、患者を中心としたチーム医療におけるコーディネート役を担う看護師の役割は重要である。そのため、看護師のクリニカルパスに関する知識や参画意識がクリニカルパスの運用やバリアンス判断に大きく影響を及ぼすと推察される。そこで、乳房切除術クリニカルパスに携わる看護師のクリニカルパスに関する知識及び意識を把握するために、無記名式アンケート調査を実施した。

 その結果、クリニカルパス及びバリアンスに関する知識の不足によって、クリニカルパスの運用が曖昧となり、日常の看護業務でのバリアンス判断を困難にしている現状がみられた。また、業務の軽減という効用への期待が先行し、クリニカルパス本来の目的達成にむけた運用プロセスの基本が欠落する危険を孕んだ状況も浮かび上がった。これらは、日常の看護業務の中でクリニカルパスを着実に実践し、クリニカルパスの充実を図っていく上での留意点を示している。

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© 2006 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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