日本クリニカルパス学会誌
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学会報告(第6回学術集会) ワークショップ3 パスと薬剤師―薬剤師の臨床アウトカム―
クリニカルパスを利用した薬剤部門の取り組みと成果
小林 敦狩野 江利加丸岡 博信矢島 秀明前島 和俊池谷 俊郎
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2006 年 8 巻 3 号 p. 235-240

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抄録

 前橋赤十字病院では2000年1月にクリニカルパス(以下パス)委員会が発足し、現在までに約130種類のパスを作成、運用している。パスはチーム医療に必要不可欠なツールであり、医療の質の向上に役立っている。薬剤部では、医薬品の適正使用を推進するため積極的に院内でのパス活動に参加し、以下の取り組みを行った。1)術後感染予防のための抗菌薬の選択について検討した。米国疾病管理予防センター(以下 CDC; Centers for Disease Control and Prevention)のガイドライン等からパスを検証し、抗菌薬の種類、投与のタイミング、投与期間を改善し、適正使用が推進された。2)術後疼痛に適応のある鎮痛薬の薬物動態や副作用について調査・検討し、パスで術後疼痛管理に推奨される鎮痛薬を明示した。婦人科腹腔鏡下手術パスでロキソプロフェンの有効性をペインスケールで評価し、術後経口鎮痛薬を標準化した。3)静脈栄養法では、院内での中心静脈栄養の施行調査を行い、静脈・経腸栄養のガイドラインと使用状況で異なる点を指摘した。患者の病態による適切な栄養補給の重要性が認識され、栄養支援チーム(以下NST;Nutrision Support Team)の発足につながり全病院的な業務へと発展した。4)地域医療連携への関与として、喘息治療での吸入薬の使用法を病院が開催する登録医大会で開業医に紹介、現在連携パスの作成や病院薬剤部門と市中調剤薬局の連携(以下薬薬連携)へ展開している。

 医薬品の適正使用を主眼に置いた薬剤師によるパス活動から、感染管理チーム(以下ICT;Infection Control Team)やNST、指診連携といった組織横断的な業務へ進展した。

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© 2006 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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