2007 年 9 巻 2 号 p. 131-134
平成18年度のDPC改定に伴い、あらたに改正した肺癌手術に対するクリニカルパスの運用効果を改正前と比較検討した。対象は平成17年1月から平成18年7月までに原発性肺癌に対して肺葉切除パスでDPC評価した86例を対象とし、旧パス使用群73例と新パス使用群13例に群別した。設定は旧パス、新パスでそれぞれ抗生剤使用日数は2日、1日、ドレーン留置期間は3日、3日、在院日数は21日、16日とした。両群間で、総診療報酬、一日あたりの診療単価、ドレーン抜去日、在院日数、バリアンスの比較解析を行った。結果は改正パスでは旧パス群と比較して、その設定とおりに、抗生剤使用期間、在院日数が有意に短縮した。また、在院日数に対するバリアンスも減少し、特に退院基準は満たしたにもかかわらず、退院遅延となる患者要因の割合が減少した。診療報酬は改正パスでは総診療報酬が減少傾向で、一日あたりの診療単価は有意に増加した。DPCの改定に伴う改正パスの運用は現在のところまだ少数解析であるものの、在院日数は大幅に短縮し、バリアンスも減少している。これはパス改正と同時に在院日数短縮に向けてのIC強化や創治癒を良好にするためドレーンの材質を交換しことが効を奏していると考えられる。今後は在院日数短縮後の問題点や改定DPC自体の問題点も併せて検討していく必要がある。