当科では、1998年より大腸癌に対し腹腔鏡下手術を導入し、2002年より腹腔鏡下結腸切除術にクリニカルパスを導入した。また2003年4月よりパスの改訂を施行し、現在に至っている。パス導入前後並びにパス改訂により改善された項目の有無について検討し、クリニカルパス導入の効果を検証した。
【対象と方法】 対象は、1998年8月から2005年12月まで1に当院で腹腔鏡下結腸切除術を施行した結腸癌症例78例のうち、術前イレウスと透析導入中の2例を除く76例を対象とし、このうち、術後合併症により退院が遅延(パス群ではパス逸脱に至るようなバリアンス)となった9例を除く67例について検討した。パス導入前の2001年12月までに手術をした11例をN群、パス導入から2003年3月までの10例をP-1群、パス改訂後から2005年12月までの46例をP-2群として、周術期の因子について検討した。パス日程は、手術2日前入院、術後第7病日退院の全行程10日間で施行した。
【結果】 パスの導入、改訂により飲水開始病日はN群第3病日、P-1群第2病日、P-2群第1病日となり、食事開始病日は、各群でそれぞれ第4病日、第3病日、第2病日といずれも有意に早期となった。これに伴い退院病日は、N群第10病日、P-1群第8病日、P-2群第7病日まで短縮が可能であった。また、パス逸脱に至るようなバリアンスの発生に関しては、手技の安定とパスの改訂に伴い減少した。
【結論】 腹腔鏡下結腸切除術にクリ二二ルパスを導入した結果、周術期管理の改訂ができ、入院期間の短縮が可能であった。また、パス導入後のバリアンス分析をもとにしたパス改訂により、さらにバリアンスの減少が計られ、パスの標準化が可能となった。
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