2000 年 25 巻 p. 12-28
社会構築主義は人々がどのように世界へ意味を付与するのかを調査する.すなわち, 社会構築主義は, 社会学者が客観的世界を直接的に研究できると想定するよりも, むしろすべての社会生活は行為者の主観的定義を反映していると主張する.このことは, 犯罪と刑事司法の研究においては, どのようにまたなぜ犯罪カテゴリーが人々の関心をひくのか, 刑事司法政策が考案され実施される仕方, 多様なカテゴリーに所属する行為者がどのように犯罪や刑事司法を異なって理解するのかについて研究することを意味する.構築主義による犯罪の分析は、逸脱に関するレイブリング理論の上に築かれてはいるが, はるかに広い問題の範囲を対象としている.すなわち, クレイム申し立てを通じての犯罪問題の構築, メディアによる報道を通じてのクレイムの普及, 刑事司法政策の創造と実施や, 犯罪問題に関する人々の定義づけを含んでいる.構築主義パースペクティヴを進展させるための最も有望な方法の一つは, 歴史的な複数の時代にまたがるあるいは複数の社会の比較研究である.