犯罪社会学研究
Online ISSN : 2424-1695
Print ISSN : 0386-460X
ISSN-L : 0386-460X
少年非行における医療化と厳罰化
「子供と医療化」の再検討
赤羽 由起夫
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 32 巻 p. 104-118

詳細
抄録

現在,「第四の波」を迎えたとされる少年非行では,非行の心理学的・精神医学的な解釈が目立つようになり医療化の傾向にある一方で,少年非行短策は厳罰化の傾向にある.コンラッドとシュナイダー(1992=2003)の逸脱の医療化論によれば,医療化と厳罰化とは対抗的な流れであるはずだが,現在の状況では医療化と厳罰化が対抗することなく同時進行しているのである.そこで本稿では,コンラッドとシュナイダーの医療化論を再検討した上で,少年非行の医療化の過程を社会構築主義の視座から分析することで,どのようにして医療化と厳罰化の同時進行が生じているのかを明らかにする.そのため,本稿では次の手順で論を進めていく.(1)コンラッドとシュナイダーの医療化論を再検討し,少年非行だけでなく子供の逸脱行為全般おける医療化論の理論的前提の修正を行う.(2)「第四の波」の少年非行における医療化の過程を分析し,医療化の背景にある少年非行観を明らかにする.(3)医療化と厳罰化との関係を検証し,どのようにして両傾向の同時進行が可能となっているのかを明らかにする.

著者関連情報
© 2007 日本犯罪社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top