犯罪社会学研究
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女子少年による嬰児殺の研究
近藤 日出夫
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2008 年 33 巻 p. 157-176

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抄録

女子少年による殺人で,最も多いのは今も昔も嬰児殺である.近年,妊娠中絶,できちゃった婚,シングルマザーなど望まない妊娠に対する選択肢が増加したにもかかわらず,女子少年による嬰児殺は横ばいのまま推移し,根絶させるに至っておらず,現在でも女子少年による嬰児殺の背景にある問題は十分に解決されたとはいえない.そこで本稿では,最近5年間に嬰児殺を犯した女子少年について,資質的特徴に基づいて,抑制型,不安定型,未熟型の3つのタイプに分け,それぞれのタイプごとに異性関係の持ち方,家族関係の特徴などから嬰児殺に至る背景要因を分析した.親に過剰な気遣いをするなど,自らの率直な感情表現を抑えがちであったタイプを抑制型,家庭的な問題を背景に情緒面での安定が図られてきていないタイプを不安定型,困難場面における問題解決能力に劣り,状況に依存した受動的な生き方を選択してきたタイプを未熟型とし,分析した結果,タイプごとに妊娠から犯行までの経緯もそれぞれ特徴があることを明らかにした.

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© 2008 日本犯罪社会学会
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