犯罪社会学研究
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出所後の成人の性的再犯に影響する要因の検討
公的記録を用いた生存分析からの考察
齊藤 知範山根 由子
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2018 年 43 巻 p. 104-120

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抄録

性犯罪者の再犯について,出所時年齢だけでなく初犯時年齢を用いる形で,海外では実証研究が行われてきた.本稿では,生存時間分析を用いて,出所者の性的犯罪による再犯に影響するいくつかの要因を明らかにした.海外の研究同様に,過去の暴力的性犯罪の検挙歴の多さが性的犯罪による再犯リスクに影響することが明らかになった.さらに,過去の暴力的性犯罪の検挙歴の多さを考慮に入れた上でも,出所時年齢が20歳代・30歳代であると性的犯罪による再犯リスクは高いことが示された.一方で,出所時年齢にもとづくサブグループ別の分析をおこなったところ,出所時年齢が20歳代・30歳代である場合に,初犯時年齢が10歳代であることが再犯リスクの高さに影響することが示された.これらの知見の含意と今後の研究の方向性についても論じる.

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© 2018 日本犯罪社会学会
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