2021 年 46 巻 p. 49-59
本稿は,日本において近年推進されている再犯防止施策においてデシスタンスがどのように位置付けられ得るのか,また,デシスタンスを促進する再犯防止施策があり得るのかについて,主に更生保護の分野を中心に論じることを目的とした.デシスタンスの概念及び先行研究について概括した後,先行研究から得られた知見を元にデシスタンスの過程を支持する再犯防止施策の在り方を示し,社会内処遇がその土台となり得ることを示した.近年は個々人の長所や強みにも着目したアセスメントや処遇が行われていることや,自助グループとの連携が図られつつあることなど,デシスタンスについて得られた知見が再犯防止施策に活かされていることを指摘した.最後に,犯罪や非行から離脱しようとする者を支えるには,地域や社会が彼らを再統合的な態度で迎える必要があり,地域の一員として社会内処遇に関わる保護司が一定程度その役割を担ってきたと考えられること,今後,各地域において地方再犯防止推進計画の策定が進められることにより,社会がデシスタンスを支えるものに変革していく契機となる可能性があることを主張した.