日本障害者歯科学会雑誌
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症例報告
ビスホスホネート製剤による口内炎が疑われた重症心身障害者の一例
伊堂寺 良子, 新寳 理子, 渡邊 亮太, 山西 博道
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2021 年 42 巻 2 号 p. 170-174

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抄録

経口のビスホスホネート(以下,BPと略す)製剤は,咽喉頭,食道などの粘膜に対し局所刺激症状を引き起こすおそれがあり,口腔咽頭部に潰瘍を生じる可能性があるため,180mlの水で,嚙んだりまたは口中で溶かしたりせずに服用するよう用法に指示されている.しかし実際にBP製剤を適切に服用しなかったことが原因となり口腔粘膜に潰瘍を生じた症例の報告は少ない.今回,再発を繰り返す広範囲の口腔粘膜潰瘍に対し,種々の検査や治療の後,BP製剤による粘膜潰瘍を疑い,服用を中止することで潰瘍の消失にいたった症例を報告する.

患者は重症心身障害児施設(現行法では医療型障害児入所施設)に入所中の重症心身障害者(以下,重症者と略す)の69歳女性で,広範囲の口腔粘膜潰瘍を主訴に当科を受診した.病理組織検査,血液検査および微生物検査を行うも原因を特定できず,原因不明の口内炎として対症療法を行っていたが,初診より4カ月後に,BP製剤を口腔内に貯留させたことによる粘膜潰瘍を疑い,服用を中止することで潰瘍の消失にいたった.中止後は,潰瘍の再発は認めていない.

骨粗鬆症は重症者に多くみられ,その対策として2009年より重症児施設である当センターにおいても骨粗鬆症の治療に経口のBP製剤の投与が開始された.歯科医師はBP関連顎骨壊死(BRONJ)対策に重点を置く傾向があるが,服用方法を理解することが困難な重症者にBP製剤を経口投与する場合は,適切に服用されないことにより,副作用として口腔粘膜潰瘍を生じる可能性があることを念頭に置いた注意深い観察が重要である.

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