2025 年 46 巻 3 号 p. 193-199
先天性心疾患(CHD)患者の増加に伴い,CHD患者の歯科受診も増加している.本調査では,障害者歯科専門機関におけるCHD患者の受診状況に加え,重症度と感染性心内膜炎(IE)リスクを把握し,実態に即した歯科管理の必要性を検証した.
2006年4月~2024年3月に広島大学病院障害者歯科を受診したCHD患者を対象に,診療録より障害,CHD病型および重症度等を調査した.また,IEリスクを層別化し,実態調査による分布と比較した.
総患者数1,559名のうち,CHD患者は84名(5.4%)であり,年齢は30.0±11.6[5-59]歳であった.一般人口のCHD割合よりも有意に多かった(p<0.01).CHD患者の71.4%が他の障害,60%が併存疾患・合併症を有した.CHD単独の患者は4.8%にとどまった.CHD病型は心室中隔欠損症が41.3%と最多であったが,歯科治療上の配慮が必要な重症度が中等症以上のCHD患者率は全国よりも高かった(p<0.01).また,IEリスク群も46.4%と全国データよりも有意に多かった(p<0.01).
本研究により,障害者歯科ではCHD患者の割合が多く,その重症度やIEリスクも高いことが明らかとなった.歯科治療においては専門的な全身管理,行動調整技術,ならびに医科歯科連携による緊急対応体制の整備が不可欠であることが示された.