応用地質
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論文
ボーリングコアを用いたSCB試験による破壊靱性値KICの方向特性評価について
川辺 金光杉本 文男今井 忠男
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2009 年 50 巻 5 号 p. 262-272

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抄録
 亀裂の発生や進展を定量的に評価することは, 岩盤構造物の長期的な安全性を検討するうえで重要となる. 亀裂の進展規準には, 線形破壊力学の応力拡大係数と破壊靱性値に基づいた方法がある. この概念は, 岩盤力学と岩盤工学の分野で広く適用されている. ただし, 破壊靱性値は等方性と仮定される場合が多い. しかしながら, 岩石が内部亀裂の影響によって異方性の力学的性質を有する場合, 破壊靱性値も方向特性を示すと考えられる. これまで, 破壊靭性値の方向特性, および岩石内の構造的な特徴との関連性については十分な検証が行われていない.
 本研究では, 変位様式がモードI(開口型)を取り上げ, 破壊靭性値KICの方向特性を評価することを目的とした. なお, 試験片には直交異方性の力学特性を有する粗粒な花崗岩を用いた. 具体的な考察内容は以下のとおりである.
 1) KICの方向特性をSCB試験で評価するための実験法について.
 2) KICの方向特性と試験片の構造的な特徴点との関連性について.
 3) 巨視的な引張破壊における最大亀裂長について.
 その他, 石工職人の経験則を, KICの方向特性の観点から定量的に考察した.
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© 2009 一般社団法人 日本応用地質学会
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