2012 年 53 巻 5 号 p. 227-234
海面(水面)の廃棄物最終処分場は,埋立区画の底面遮水層として在来地盤の沖積粘土層を利用している場合が多い.遮水層の層厚は,規定値を満足する必要があり,埋立廃棄物の沈降および着底時に及ぼす衝撃によって減じられることがあってはならない.埋立廃棄物の沈降現象を把握することは,周辺環境への影響などを把握するうえで,非常に重要なことである.このような現象を数値解析的に見積もる解析手法については,適切な手法の開発には未だ至っていないのが現状である.そこで,われわれは水中を沈降する物質の挙動を推察するための数値解析手法について検討している.ここでは,実験結果と比較し,MPS法による数値解析手法の再現性について検討した.
その結果,粒子法の一種であるMPS法では,単粒子のみならず多粒子の沈降状況をある程度表現できることが示された.現在利用可能なコンピュータでは計算時間が膨大になり,適切な沈降速度を直接算出することはできないが,いくつかの異なる粒子間距離の解析結果からある程度の沈降速度等を推察できる可能性がある.