2013 年 54 巻 4 号 p. 168-174
付加体における未固結-半固結堆積物の変形に伴う透水特性を評価するために,砂とセメントを混合した人工供試体に対して三軸圧縮試験を行った.せん断帯が癒着するか開口割れ目を形成するかは,供試体の持つ強度と,外部から受ける拘束圧条件によって変化した.また,三軸圧縮試験で癒着せん断帯を形成した供試体の内部構造を調べるために,マイクロフォーカスX線CTを利用した.その結果,癒着せん断帯ではせん断帯わきよりも空隙率が低いことが確認された.また,薄片観察では癒着せん断帯での粒子破砕は見られなかった.このため癒着せん断帯では,せん断により粒子配列が密になることで空隙率が減少すると推定した.比較的透水性の高い砂質堆積物でも,癒着せん断帯が形成されることで流体の移動を規制する層となると考えられる.