応用地質
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論文
2008年岩手・宮城内陸地震による祭畤大橋右岸の初生岩盤地すべりと前駆現象
野崎 保永田 秀尚竹下 秀敏
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2015 年 56 巻 4 号 p. 149-156

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抄録

2008年に発生した岩手・宮城内陸地震では,3成分合成で4,022galという非常に大きな加速度が記録された.この地震ではNE-SW方向に連なる地表地震断層が断続的に現れ,山間地を中心に大規模な岩盤地すべりを含む様々なランドスライドが多発した.なかでも国道342号祭畤大橋の岩盤地すべりによる落橋は,橋台・橋脚を支える岩盤が一見堅固なものであったために,異常な事態として多くの注目を集めた.筆者等による調査の結果,この落橋をもたらした岩盤地すべりは,地震動によって初生地すべりが誘発され,ほぼ水平方向に拡散するように移動したものと考えられる.また,その運動メカニズムはトランポリン効果(Aoi et al.1))によって説明したTakami et al.8)の紙相撲モデルを支持するものである.しかし,本件の場合は過去にその前駆現象と考えられる「傷」が生じており,「地すべりの漸移期」にあったという結論を得た.

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© 2015 一般社団法人 日本応用地質学会
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