2016 年 57 巻 5 号 p. 213-218
熊本県天草地域に分布する古第三系の粗粒砂岩を用いて,風化による砂岩の岩石物性の変化について検討した.鏡下観察の結果,風化した試料では新鮮な試料に比べて,砂岩の基質を構成する方解石が溶解して減少し,水酸化鉄が基質部分に濃集している.有効間隙率・間隙径分布・強度測定の結果,風化した試料ほど,有効間隙率と間隙量がともに増加し,点載荷強度と土壌硬度が減少している.風化に伴う間隙の増加の原因は,砂岩の基質を構成する方解石の溶解に由来するものと考えられる.粗粒砂岩の風化に伴う岩石組織の変化においては,方解石の溶解が主因のひとつと考えられる.