2019 年 59 巻 6 号 p. 485-494
斜面崩壊において,滑落崖および側方崖付近に断裂が分布している.移動土塊の形成は,主断裂・共役断裂による分断が起因している.主断裂・共役断裂分布と地形・地質特性を重ね合わせることによって,崩壊発生機構と場所の予測が可能となると考える.凸状台地状地形を呈する移動土塊が断裂に伴う「地形の逆転」によって旧谷地形に分布した地質体である場合,接触不整合面が「すべり面」となる可能性が高い.移動土塊の規模が大きく,地下深部の不安定化(火山砕屑物の風化,深い位置のすべり面形成)が進行した場合には深層崩壊に転化すると考えられる.コア観察による「すべり面」検出では,形態のみでは「すべり面」の識別が困難であるため,地質の定量化(コアγ線測定)による判別手法が考えられる.