抄録
利尻島は火山島で, その西半部では地表水系は全くみられない。降水や融雪水は, 扇状地堆積物しもくは溶岩中へ浸透して地下深くに貯えられ, 海岸の汀線近くか海底へ湧出している。そして, これまでの調査によって, 沿岸部にはガイベン-ヘルツベルグの淡塩水均衡面があり, その面の深い所は淡水補給が優勢で, いわゆる地下川を形成している, ということが判明している。しかし, 地下川の径路上といえども, 渇水期には淡塩水均衡面が浮上して, 揚水井をおびやかすおそれがある。この報文は, このような事態の予知と防止とを目的として行なった水位観測と流量調査についてのべたものである。