抄録
宇和盆地を水理地質学的に調査, 研究した結果, 以下のことがらがわかった。
1) 盆地堆積物は上部粘土層, 中部粘土砂れき互層, 下部砂れき層に区分され, 堆積物の堆積速度からみると, 全体として第四系の可能性が強い。この盆地堆積物のうち砂れき, 砂層が主な帯水層である。
2) 盆地には被圧地下水が存在し, 深度70~95mのさく井で, 100~1,500m3/dayの揚水量がある。盆地の地下水開発量は日単位面積排水量1,000m3/day/km2, 2,445,000m3/yearを目安として行なうべきであろう。
3) 盆地の基盤岩は秩父古生層で, 重力探査によって推定基盤深度は, 地表下約100m, EL. 120m程度と推定される。
4) 盆地の被圧水の水質は鉄分で汚染されており, その鉄分は下部帯水層程少ない。