抄録
深部地下における難透水性岩の浸透流特性を高精度に評価することは, 各種地下開発・利用施設の設計あるいは評価においてきわめて重要である. 本研究では深部地下の圧力条件を再現した高い拘束圧条件下で, 岩の透気試験が可能となる新しい試験装置を開発し, 白浜砂岩および稲田花崗岩を対象に試験を行った. 岩の異方性が透気係数に及ぼす影響を調べるために, 砂岩は層理面に対して平行および直交, 花崗岩はRift, GrainおよびHardway面に対して直交した供試体を用いた. また, 試験条件は試験法, 透気圧, 供試体寸法および拘束圧等が岩の透気係数に与える影響を評価できるよう設定した. 本研究より得られた知見は以下のとおりである. (1) 透気試験は花崗岩のような低い透気係数を持つ岩にも有効に適用できる. (2) 岩の透気係数は拘束圧の大きさに依存する. 拘束圧が1MPa-69MPaに変化した場合, 白浜砂岩および稲田花崗岩の透気係数はそれぞれ, 9.4×10-16-7.4×10-17および5.2×10-18-8.0×10-20 (m2) の値をとった. (3) 稲田花崗岩は透気係数に関して異方性を有しており, 微小クラックが多く存在するRift面に直交した方向の透気係数が最も小さい.