応用地質
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美濃帯のジュラ紀メランジュの室内透水試験
八百津地域および伊自良地域の例
山口 卓哉小嶋 智矢入 憲二
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2003 年 44 巻 5 号 p. 303-312

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抄録
美濃帯のジュラ紀メランジュを構成する混在岩のボーリングコアを使用してトランジェントパルス法により室内透水試験を行い, 透水係数を測定した. 測定には, 中期ジュラ紀の上麻生ユニットに属し土岐花崗岩の接触変成作用を被った丸山コアと, 後期ジュラ紀から最前期白亜紀の金山ユニットに属する非変成の伊自良コアを用いた. その結果, 丸山コアは10-13~10-15m/sec, 伊自良コアは10-11~10-15m/secの透水係数を示し, ともに難透水性岩石であるが, 接触変成作用を被った丸山コアの方がより透水性が低いことが明らかとなった. また, 一般に透水性に影響を与えると考えられる, 混在岩の面構造と試料の長軸方向のなす角度と透水係数の間には相関はみられないのに対し, 透水係数と試料の間隙率の間には相関が見られ, 間隙率が大きいほど透水性が高いことが示された. また, 伊自良コアでは透水係数と試料に含まれる砂岩ブロックの割合の間に弱い相関が見られ, 砂岩ブロックの量が多いほど透水係数が高い.
既存の資料を評価し, メランジュと推測される岩体について行われた原位置透水試験結果をまとめた. 同程度の深度で比較した場合, 室内試験で得られた透水係数は原位置試験で得られた透水係数より4乗~7乗オーダー小さな値であった.
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© 日本応用地質学会
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