抄録
現職教員を対象としたマルチメディア教材作成研修を行い,使用したメディアの種類と使用意図.教材のリンク構造とシークエンス,教材のもつ対話性の三つの観点から,制作者に対してインタビューによるプロトコル分析を行った。その結果.教材画面中でのメディアの重ね合わせ利用は,学習者の注意を引き,情報量を多くして,わかりやすくすることに集中しすぎ,学習情報の明示度や冗長度が高くなる傾向があることが明確となった。マルチメディア教材の作成時には,学習者に十分に考える余地を残す必要があることが,作成上の留意点として示唆された。また,教材のリンク構造に関しては,授業のもつシークエンスとマルチメディアのノンシークエンスの折り合いをどうつけるかという問題点が,制作者自身のジレンマとなっていることが明らかとなった。