抄録
本研究では,日本・韓国・中国の中学・高校生(以下,中高生)が抱く情報教育のカリキュラムに対する学習者のイメージを比較検討した.ブルームの評価理論に基づき作成した調査票を用いて,2009〜2012年に日本・韓国・中国の中学生465名,高校生496名を対象に実施した.その結果,韓国と中国の中高生は体系的な情報教育のカリキュラムに沿って,認知的・精神運動的・情意的領域についてみると,バランスの良い学習段階のイメージを持っていた.これに対して,日本の中高生は情報教育に関するイメージが認知的領域や情意的領域において初期段階のレベルで留まっており,精神運動的領域に該当する技能習得に偏っていることが示唆された.このことから我が国の今後の情報教育に対しては,そのカリキュラムの体系化に課題が見られることを指摘した.