抄録
本稿では,学生ファシリテータの育成をめざし,Kirkpatrickの研修評価モデルに対応させた指導プログラムの開発,および階層分析法(AHP)によるスキル評価プログラムの実践を試みた.この指導と評価の一体型研修システムを学生(TAを含む)のファシリテーションスキルの向上に役立てる.特に,スキル評価測定では,数学的解析と主観的判断を融合させたAHPのプログラム開発をおこない,論理的かつ客観的な分析から相互評価を算出した.この評価をもとに,自己評価と他者評価を抽出し,各個人に対応した評価シートを作成する.これらにより,スキル改善効果の高い研修システムを実現した.このようなAHPを含むOR手法は,まだ,教育分野に浸透しているとは言い難いが,これらの手法が持つ潜在的能力をうまく利用することで,教育開発に寄与できるものと考える.