抄録
ワードプロセッサの機能がユーザにとって有効なものであるにもかかわらず,学ばれないままになる,学習の停滞現象を考察した.従来,ユーザが機能の存在すら知らない場合には,熟達したユーザの方から積極的に教えてくれるといったきっかけが不足しているために,受動的な学習が起こらず,学習が停滞していると言われていた.また,機能の存在は知っているがその手続きを学習していない場合には,ユーザに学習意欲があっても学習環境が貧弱なために能動的な学習が起こらず,結果として学習が停滞している場合もあると言われていた.本研究によって,熟達したユ-ザの方から積極的に教えられるきっかけがあっても,機能によってはその概念がわかりにくく,ユーザが理解できずに学習が停滞している場合もあることがわかった.さらに,機能の手続きの能動的学習を支援するために,学習環境が持つべき条件の一つとして,機能メニュー全体の把握が容易にできる表示方法が必要であることを提案した.