日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
原著
血液透析患者の下肢末梢動脈疾患に対する灌流指標の有用性
神野 卓也澁谷 真弓大前 裕輝西川 繁鶴崎 清之岸本 武利
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 2 巻 2 号 p. 69-76

詳細
抄録

 マシモ社パルスオキシメータPront®の付加機能である灌流指標 (perfusion index ; PI)は下肢血行動態評価の指標になることが報告されている. 対象91例182肢において27例48肢が下肢末梢動脈疾患 (peripheral artery disease ; PAD) と診断された. PI測定の測定時期は透析前, 透析後半とし, ROC分析を用い, 測定時期の違いによるPADに対する検査精度の比較を行った. またPI測定とともに皮膚灌流圧 (skin perfusion pressure ; SPP), 足趾上腕血圧比 (toe brachial pressure index ; TBI) の測定を行い, 3群間でPADに対する検査精度を比較した. PIの検査精度は透析後半が優れており, カットオフ値は2.57, 感度91.7%, 特異度69.4%あった. 各検査との比較では, SPPと同等でありTBIに比し優れていた. PIの取り扱いはパルスオキシメータと同様であり簡便かつ迅速に安定した測定結果を得られ, 熟練した技術を要することはない. したがってフットチェックの際, 理学的観察所見に加え経時的に患者ごとにPI値の定量評価を行っていくことで, 透析患者のPADの早期発見のためのツールとなることが示唆された.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人日本フットケア・足病医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top