日本フットケア・足病医学会誌
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第6回日本フットケア・足病医学会年次学術集会のご案内
特集:運動器目線のフットケア
  • 浅井 宣樹, 下薗 英史, 玉置 哲也, 山田 宏
    2025 年6 巻3 号 p. 119-122
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     人間の足部は特有のアーチ構造となっており, 他の動物と比較して長距離の歩行を可能にしている. しかしながら人間は生来からこの構造的特徴をもっているわけではない. 人間の足は生まれてから12歳になるころまでに形成されていく. 生後から乳幼児期, 小児期を経て成年に至るまで, その日常生活の中で足部が発達し人間としての足の特徴を獲得していくのであるが, その過程において成人とはまた異なる足部のケアが必要となってくる. 小児に対してよいとされる靴の特徴として, 踵部分がしっかりと高く作製されていること, 靴底のゴムが硬く足趾の部分でのみ折れ曲がること, 足のサイズよりも5-10mm大きいものなどといった点が挙げられる. また成長の過程において疼痛が発生する様態も異なっており, それぞれの年齢に起きやすい疾患などを報告する.

  • 東迎 高聖, 嶋 洋明, 平井 佳宏, 田中 憲, 大槻 周平
    2025 年6 巻3 号 p. 123-128
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     外反母趾患者の主な症状として, 第1中足趾節 (metatarsophalangeal: MTP) 関節内側部痛がある. 重度例の半数にハンマー趾などの外側趾病変や前足部中央の有痛性胼胝を合併しており, 外反母趾患者の症状は多様である. 診察では症状の部位を問診し, 胼胝や潰瘍, 感染, 関節拘縮の有無について評価する. 瘻孔があれば, ゾンデなどを挿入し骨の触知を確認するprobe to bone testを行う. 骨が触知されれば骨髄炎を疑い血液検査や細菌培養検査を行う. 骨髄炎が疑われれば単純X線だけでなくCTとMRIが有用である. 保存治療として, 靴の指導を行い, 筋力訓練を促すとともに, 中足痛を有する症例には足底挿板を装着して除痛を図る. 特に軽度から中等度の症例に対する保存治療は効果的である. 感染を併発している症例では, 抗生剤の処方や免荷, 靴の指導を徹底して感染を沈静化させる. 保存治療に抵抗する症例については手術治療を行う. 当科では, 外反母趾に対して第1中足骨近位回外骨切り術を, ハンマー趾を合併している症例では, 中足骨短縮骨切り術とMTP関節脱臼整復術 (手綱法) を併用している. 近位趾節間 (proximal interphalangeal: PIP) 関節に拘縮があればPIP関節固定術を行う. 特に母趾と足趾の変形や拘縮が強い症例では, 潰瘍から感染が生じて骨髄炎や化膿性関節炎にまで至ると切断のリスクとなる. そのため, 変形と拘縮の強い症例ではフットケアの観点からも手術治療は重要な役割を担っていると考えられる. 本稿では, 外反母趾患者の外側趾病変に対する治療について概説する.

  • 佐々木 貴英, 山田 宏
    2025 年6 巻3 号 p. 129-134
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     麻痺性足部疾患は, 中枢神経系または末梢神経系の障害により足部に変形が生じた状態である. これらの疾患では, 筋力のバランスが崩れることにより足関節および足部に内反尖足, 凹足, 屈趾変形などの多様な変形が生じる. 麻痺性足部疾患の診療にあたっては, 変形の病態を正確に理解し, 個々の病態に応じた治療戦略を立てることが重要である. 麻痺性足部疾患に対する治療の目標は, 機能的肢位の獲得と保持である. そのためにリハビリテーション, 装具治療, 手術加療が組み合わせて行われる. また麻痺性足部疾患では胼胝や潰瘍などの足部病変が生じるリスクが高いため, フットケアは極めて重要な位置を占める. フットケアの実践にあたっては, 多職種が連携し, チームとして継続的に関与することが, 足部病変の予防, 早期発見および適切な介入を行ううえで重要である.

  • 上野 優樹, 谷口 晃, 辻本 憲広, 宮本 拓馬, 黒川 紘章, 伊東 勝也, 田中 康仁
    2025 年6 巻3 号 p. 135-140
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     シャルコー関節 (神経病性関節症) は, 糖尿病性神経障害や脊髄癆, 脊髄空洞症, 脊髄髄膜瘤などによって引き起こされる高度な変形を伴う関節症で, 足部・足関節に多くみられる. 知覚障害によって微小外傷を繰り返すことで骨折や脱臼に至ってしまうことや, 自律神経障害によって骨吸収システムや靱帯による関節安定機構が破綻し, 関節破壊が生じることが原因とされている. 変形が進行すると重度の足部変形をきたすことで難治性潰瘍が形成され, 細菌感染を併発した場合には切断を余儀なくされることもある. シャルコー関節の治療目標としては, 切断の回避へ向けてアライメントの矯正を行い潰瘍形成や感染予防を行うことがあげられ, その治療過程で潰瘍部の適切な処置, Total contact castや装具の使用・調整が必要となる. つまり目標達成のためには, 医師のみならず看護師, 義肢装具士などとの多職種が連携してのフットケア介入が重要である. 今回シャルコー関節への介入について, 整形外科的な外科的介入による治療のみならず, 多職種でとりくんでいくことのできるフットケアの視点からも解説をする.

  • 平尾 眞
    2025 年6 巻3 号 p. 141-144
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     関節リウマチ (RA) による足部変形は罹患早期より見られるが, RA診療の中で足部の問題が早い段階で出てくることが少なく, 靴を履いていることもあり, 診療がおろそかになりがちである. そのため変形が進行してから治療介入となる患者が多い. 足は荷重関節であり接地がうまくゆかないと全身のアライメントのアンバランスを招きまともな二足歩行からほど遠くなってしまう. RAの薬物療法の画期的な進歩とともにRA患者の人生も長くなっているため, 足部変形の進行・再発防止や, 機能改善の観点から足部のフットケアは健康寿命を延伸するうえで非常に大切である.

  • 湯上 正樹, 髙田 弘誠, 吉村 直人, 上原 悠輔, 宮本 健史
    2025 年6 巻3 号 p. 145-149
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     「フットケア」という言葉からは, 足病に対する介入が連想されることが多いだろう. また「足病」については, 構造的・機能的障害や感染と付随する足病変 (特に循環障害・神経障害) を連想される方が多いのではないだろうか. 一方, 「スポーツ」というと, 野球・サッカー・ラグビーなどの競技スポーツが連想されることが多い. スポーツ基本法においては, スポーツは「心身の健全な発達, 健康及び体力の保持増進, 精神的な充足感の獲得, 自律心その他の精神の涵養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動」とされている. いわゆる競技スポーツのみでなく散歩や登山などの他者と競わないものや観て楽しむ・指導して支えるなども「スポーツ」である. 近年ではeスポーツという分野も盛り上がりを見せている. 本稿では, サッカー競技におけるフットケアについての取り組みを報告する.

原著
  • 本間 智明, 小林 平, 長谷川 美紗, 井場 和敏, 西谷 喜子, 河野 裕美
    2025 年6 巻3 号 p. 150-157
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     目的: 血行再建術前のchronic limb-threatening ischemia (CLTI) 患者における術前の身体機能と生命予後との関連性について検討した.
     方法: 2017年から2023年にCLTIチームによる術前評価および血行再建術を施行したCLTI患者95例 (95肢) を対象とした. 患者背景, 歩行可否, 握力, mini mental state examination (MMSE) を説明変数とした多変量解析を行い, 治療後における死亡の危険因子について検討した.
     結果: 65例 (68%) が握力低下 (男性<28kg, 女性<18kg) を示した. 遠隔フォロー期間は19ヵ月で, 全体での死亡数は35例, 2年生存率は67.3%であった. 死亡の危険因子として握力低下[HR 10.13 (95%信頼区間: 95%CI) 1.37-75.19) , p=0.024], 高血圧症[HR 3.26 (95%CI 1.11- 9.59) , p=0.031], 対側下肢のCLTI[HR 2.22 (95%CI 1.11-4.42) , p=0.023]が抽出された.  
     結論: 術前に握力低下 (男性<28kg, 女性<18kg) を示すCLTI患者の生命予後は不良である.

総説
  • 藤井 かし子
    2025 年6 巻3 号 p. 158-168
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     背景: 先行研究では, 地域在住の高齢者における足の問題の有病率が高いことが示されている. 本研究の目的は, 高齢者の足の健康状態を把握し, 適切な支援策を明らかにすることである.
     方法: PubMed, Google Scholar, Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(CINAHL), および日本看護協会図書館の最新看護学検索Webを使用し, 足の健康とその対策に関する文献を検索した. 足の問題, 介入, および測定法に焦点を当てた研究を対象とし, 解剖学, 生理学, 栄養, 下肢機能に関する研究は除外した.
     結果: 文献検討の結果, 339件の研究が抽出され, そのうち142件の分析研究を対象とした. これらの文献を足の健康問題, 足の介入, 評価のための測定法の3つのカテゴリーに分類した. この分類により, 足の健康問題の特徴と, それに対する支援策が明らかになった. 包括的な評価を通じて, 足の健康に関するニーズを特定し, 適切な介入策を実施する必要がある.
     結論: 地域在住の高齢者は多くの足の問題を抱えている. 本研究は, 利用可能なエビデンスを整理し, 世界的な足の健康問題を理解する上での基礎資料となった. このレビューの知見は, 高齢者の足の健康を改善するための効果的な支援策を開発するための重要な指針となる.

  • ~糖尿病看護認定看護師と皮膚・排泄ケア認定看護師の実践比較~
    二俣 恵里香, 藤本 菜摘, 松浦 陽菜, 大坪 芙羽, 濱野 初恵
    2025 年6 巻3 号 p. 169-179
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     近年, 糖尿病患者の増加に伴い足病変の発生率が上昇している. 2008年にフットケアが診療報酬の対象となり, 多くの医療機関でフットケア外来が設置された. フットケア外来では, 糖尿病看護認定看護師や皮膚・排泄ケア認定看護師が中心となってケアを実践しているが, 両者の実践内容の違いは十分に整理されていない. 本稿では, 両者の専門的知識と経験に基づく実践内容を明らかにし, 看護介入の標準化に向けた枠組みの検討を目的とした.
     2008-2024年に発表された国内文献を検索し, 糖尿病患者へのフットケアに言及した10件を抽出した.
     分析の結果, 糖尿病看護認定看護師はセルフケア支援や生活習慣の調整指導を中心に実践しており, 皮膚・排泄ケア認定看護師は創傷管理や除圧, スキンケアの提供といった治療的介入を多く担っていた. また, セルフケアの継続を促す関わりや多職種連携といった共通の実践も確認された.
     今後は, 両者が協働し学び合う機会を設けることで, フットケア実践の統合と質の向上が期待される.

症例報告
  • 芝 寿実子, 奥野 浩司郎, 玉村 悠介, 近藤 颯人, 吉川 創, 松浦 道子, 錦見 俊雄
    2025 年6 巻3 号 p. 180-185
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     【目的】糖尿病足病変による下肢切断者は, その合併症などの影響で, 運動耐容能が低いことが多い. このため, 義足歩行の獲得には, 早期から活動を確保することが重要である. 今回, 予備能力の低い患者に対し, 平行棒内歩行や車椅子自立など低い能力でも取り組める理学療法を提供した. 本報告は, その具体的なアプローチを示し, 義足歩行獲得への影響を考察する.
     【症例】60代, 男性, ガス壊疽による左下腿切断術後に回復期病院に転院.入院時, 非切断肢に感覚鈍麻と下垂足を呈し, 両下肢に筋力低下や関節可動域制限が著明であった.支持物を使用しても片脚の立ち上がりが困難で, 日常生活は車椅子で介助を要した.
      【介入】義足歩行を目標としながらも, 車椅子での日常生活自立にも焦点を当て, 運動耐容能向上, 身体バランス獲得, 関節可動域拡大, 筋力増強等の介入を行った.
     【結果】運動耐容能, 筋力と関節可動域が改善し, 義足装着後20日で独歩可能, 入院120日後に自宅退院した.
     【考察】段階的アプローチが, 活動性を向上し, 義足歩行獲得に寄与した.障害が重複した症例でも, 適切なリハビリテーションの提供により, 義足歩行の可能性を高められる.

  • 川原田 圭, 毛利 明子, 平賀 深友紀
    2025 年6 巻3 号 p. 186-191
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー

     76歳女性. 自宅で転倒し左足関節をひねり受傷した. 左足関節開放性脱臼骨折の診断で一時的創外固定設置術を施行した. 軟部組織の状態の回復を待ち, 受傷後13日に観血的整復固定術を施行した. 術後6日に両果部で創離開し, 創傷処置を継続したが術後4週でプレートが露出した. 深部への感染が危惧されたが, 骨癒合を得るためにプレート温存の方針とし, 全身麻酔下のデブリードマン後に局所陰圧洗浄療法 (negative pressure wound therapy with instillation and dwelling: NPWTi-d) を開始した.NPWTi-dの開始から1週後, プレートのスクリューホールに肉芽形成が確認された. そのためスクリューを2本抜去し, さらなる肉芽形成に期待した.NPWTi-dの開始から5週でプレートが完全に肉芽で被覆されたため, NPWTを終了し被覆材のみとした. 術後8週で創部は上皮化した. 日本足の外科学会足関節・後足部判定基準は100点で, X線画像上, 骨折部の転位は無く経過している. 露出したプレート上へのNPWTの治療の報告はあるが, 足関節などの軟部組織の乏しい部位での報告は少ない. 本症例ではスクリューホールから形成された肉芽が創縁の肉芽と癒合し, プレートが被覆されたように観察された. この肉芽形成の様式は, プレート温存での上皮化に有用であると考える.

日本フットケア・足病医学会 役員・評議員名簿
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