左下腿切断を余儀なくされた糖尿病に起因する包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb-threatening ischemia : CLTI) 患者に対し, 術前からサドル付き免荷式歩行器 (以下, 免荷式歩行器) によるトレーニングを導入し義足歩行の獲得に至ったので, その有用性について検証することを本報告の目的とした. 症例は, 67歳女性, 左全足趾から後足部まで潰瘍が拡大し, 救肢困難で下腿切断となった. ADLは独歩で自立していたが, 廃用症候群が進行し, 入院時には中等度から最大介助が必要であった (Barthel index : BI, 30点). 術前から仮義足完成までは, 免荷式歩行器を使用し立位・歩行練習を実施した. そのほか, 松葉杖歩行, ADL練習, 上肢の課題志向型 (家事動作) 練習に取り組み, 義足完成後は積極的に義足歩行練習を実施した. その結果, 退院時のADLは, BIが90点まで改善した. 歩行機能は, 屋外義足杖歩行自立レベルとなり歩行速度0.76m/s, 最大で600mの連続歩行が可能となった. 免荷式歩行器は, 低負荷高頻度で非切断肢の筋力強化, 歩行練習を行うことができるため, 廃用症候群が進行し術前から歩行困難な症例に対しても有用なトレーニング方法であると考えられた.
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