日本フットケア・足病医学会誌
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第7回日本フットケア・足病医学会年次学術集会のご案内
特集:透析足病変に対して透析室でできること
  • 坂田 久美子, 小久保 恵奈, 高橋 大輔
    2026 年7 巻2 号 p. 111-117
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     透析患者は糖尿病や末梢動脈疾患など複合的なリスクを抱え, 足病変の発症や重症化により生活の質 (QOL) が低下し, 時に下肢切断に至ることがある. 透析室は週3回, 長時間にわたり患者が過ごす場であり, 足病変の早期発見・早期介入を行ううえで最前線となる. しかし現状では, 施設間で観察項目や評価方法にばらつきがみられ, 標準化されたフットケア体制は十分に確立されていない.

     本稿では, 透析室におけるフットケアの標準化を目的として, 筆者が勤務するクリニックで構築した取り組みを報告する. 具体的には, チェックリストによる系統的観察, リスク分類の導入, 写真記録の活用, スタッフ教育の充実, さらに病診連携および介護施設との情報共有体制の整備を行った. その結果, 足病変の早期発見と早期介入が可能となり, スタッフ間で共通の判断基準が形成された.

     透析室におけるフットケアの標準化は, 足病変の重症化予防のみならず, チーム医療の質向上や地域連携の強化にも寄与することが示唆された. 本取り組みは, 透析室から発信する実践的かつ持続可能なフットケアモデルとなる可能性が示唆された.

  • 安部 貴之
    2026 年7 巻2 号 p. 118-122
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     透析患者では末梢動脈疾患 (peripheral arterial disease: PAD) の合併頻度が高く, 下肢虚血の早期発見と適切な評価が重要である. 下肢血流評価として足関節上腕血圧比 (ankle–brachial index: ABI) が広く用いられているが, 透析患者では動脈中膜石灰化によりABIが偽正常を示す場合があり, 評価には注意を要する. 透析患者の下肢虚血評価では, 視診・触診などの身体所見に加え, 足趾上腕血圧比 (toe–brachial index: TBI) や皮膚灌流圧 (skin perfusion pressure: SPP) など複数の指標を組み合わせて総合的に判断することが重要である. 本稿では透析患者における下肢虚血評価の特徴と, 各種血流評価指標の臨床的意義について概説する.

  • 神野 卓也, 天野 晃輔, 大塚 愛呼, 金田 綾夏, 島田 久生, 岡﨑 瑞江, 杢 昌治, 浅井 省和
    2026 年7 巻2 号 p. 123-133
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     下肢閉塞性動脈疾患 (lower extremity artery disease: LEAD) を合併する血液透析患者において, 透析膜の生体適合性が微小循環に及ぼす影響を概説し, 透析膜選択の臨床的意義を検討した. 文献的考察に加え, 当院における透析膜ごとの, 透析中の白血球・血小板変動率の検討結果も踏まえて評価した. 生体適合性の観点では, 膜素材の違いのみならず, 滅菌方法や表面構造の差異が白血球活性化, 血小板活性化, および炎症性サイトカインの誘導を介して, 末梢微小循環に影響を及ぼすことが示されている. 特にLEAD患者では, 末梢血管床が脆弱であり, 透析膜が誘発する微小循環障害が下肢虚血の悪化に関与する可能性がある. 近年, ビタミンE固定化コーティングポリスルホン (VEコーティングPS) 膜やAN69系膜など, 生体適合性を向上させた膜の利点が報告されている. これらの透析膜は, 透析中の血小板活性化や白血球減少の抑制に寄与し, 微小循環保護の点からも有用である可能性が示唆された. 以上より, LEADを合併する透析患者においては, 生体適合性の高い透析膜の選択が微小循環障害の進展予防に寄与する可能性があり, 個別化された透析膜の選択が重要であることが示唆された.

  • 矢部 広樹, 中野 晴香, 髙橋 蓮, 夏目 大輝, 松井 明由奈
    2026 年7 巻2 号 p. 134-141
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     透析患者に対する腎臓リハビリテーションは, 運動療法を中心に栄養管理, フットケア, 心理社会的支援を統合した包括的介入である. 各種ガイドラインはいずれも, 30-60分の歩行を週3回以上, 12週間以上継続する監督下運動療法を第一選択とし, 在宅運動療法も推奨している. FontaineⅡ期LEADでは, 運動療法により最大・無痛歩行距離, 6分間歩行距離, 血管内皮機能, 末梢血流, QOLが改善し, 薬物療法や血行再建と並ぶ治療の柱と位置づけられる. 一方, 透析患者のLEADは血管石灰化, 糖代謝異常, 自律神経障害が複合した特殊病態であり, 運動は石灰化関連因子, 自律神経機能, 血糖コントロールを改善しうるがエビデンスは限定的である. 透析中運動療法はPWVや血圧, 心拍変動, 透析関連低血圧を改善し, 末梢灌流保護とCLTI予防に寄与する可能性があるが, LEAD患者での検証が今後の課題である. CLTIではまず血行再建と創傷・感染管理を優先し, 免荷装具を含む荷重管理のもと段階的に運動を導入する必要がある. これらを安全に実装するには, 多職種連携のもと, 腎臓リハビリテーションを総合的にマネジメントすることが不可欠である.

  • 吉村 祐輔, 澤 直樹
    2026 年7 巻2 号 p. 142-147
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     包括的高度慢性下肢虚血 (CLTI) は, 創傷・虚血・足部感染の複合病態であり, 救肢のためには多職種による集学的治療が不可欠である. 特に透析患者は動脈石灰化や足部病変を背景とした重症・難治例が多く, 透析医療における積極的なフットケア介入が重要となる. こうしたなか, 血行再建術不適応・不応答のCLTIに対する補助療法として吸着型血液浄化器レオカーナが登場した. レオカーナはLDLコレステロールやフィブリノゲンの吸着除去による血液粘稠度低下を介した微小循環改善が主な作用機序とされ, またブラジキニン等の産生促進による血管拡張作用も想定される. 透析患者を含むコホートで一定の創傷治癒率が報告されており, 既存治療抵抗性の難治性潰瘍に対する新たな選択肢となり得る. ただし, ブラジキニン等による血圧低下リスクには注意が必要である. 透析医療従事者による適切な評価と介入, そしてレオカーナを含めた治療選択肢の活用が, 透析患者の救肢と予後改善の鍵となる.

原著
  • 宮原 菜摘, 小久保 拓, 並木 陽子, 扇本 琴音, 高田 成二, 石渡 大貴, 沓掛 和之, 大片 慎也, 笹嶋 唯博
    2026 年7 巻2 号 p. 148-153
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     目的: 本研究は慢性下肢動脈閉塞症に対するバイパス術後1年間の歩行機能 (AF) 回復過程の単施設前向き観察研究で, 当院倫理委員会の承認を得た.

     方法: 過去3年間の自家静脈によるdistal bypass 200例中, 一側肢バイパス術後1年間有害事象の発生のない92例[間欠性跛行 (IC) 12例, 包括的高度慢性下肢虚血 (CLTI) 80例]を対象とした. AFは毎月の平均歩数/日を調査し, ≥1,000歩到達月数, 最大歩数, 12ヵ月歩数などを比較した.

     結果: 80%は術後7日以内に歩行訓練を開始した. ≥1,000歩回復はICの92%が2ヵ月以内, CLTIは85%が3ヵ月以内で, 壊疽重症度 (小潰瘍 対 広範壊疽) は回復に影響しなかった. 平均歩数はICで2ヵ月以内に急上昇, CLTIは12ヵ月まで緩徐な回復で, 両者の最大歩数 (6,629, 6ヵ月vs. 3,051, 9ヵ月, NS), 到達月最終歩数 (4,758 vs. 2,923, p=0.01) に大きな相違があった.

     結論: ≥1,000歩への回復はICの92%で2ヵ月, CLTIの85%で3ヵ月, 最大歩数および12ヵ月歩数で顕著な相違を示した. 単純化した比較群においては患者背景のAF回復への影響はなかった.

  • 新谷 恒弘, 中谷 英仁, 鈴木 沙知, 長谷川 悠人, 北 英典
    2026 年7 巻2 号 p. 154-160
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     【緒言】高齢者における包括的高度慢性下肢虚血 (CLTI) の増加が報告されているが, 血行再建術後の予後に関する検討は限られている. 本研究では, 当院において血行再建術を施行したCLTI患者を対象に, 80歳以上の高齢者と非高齢者との間で治療成績を比較した.

     【対象と方法】当院において2015年1月から2023年12月までに, 創傷を伴ったCLTIに対し血行再建術を施行された135例 (高齢者50例) を対象とした. 大切断回避率と生存率を主要アウトカムとした. 患者背景因子を交絡因子として, Coxの比例ハザード回帰モデルを用いてアウトカムについて多変量解析を行った. 影響のある交絡因子を調整し, 高齢者と非高齢者の大切断回避率と生存率について比較した.

     【結果】高齢者群では非高齢者群と比較して糖尿病や透析患者の割合が少なく, 女性が多かった. 交絡因子を調整後, 高齢者群は非高齢者群より生存率が有意に不良であったが, 大切断回避率には, 有意差を認めなかった.

     【結語】年齢に関わらず, CLTIに対しては血行再建が推奨される. しかし, 高齢者は生存率が低く, 治療法の選択に際しては, 血行再建のリスクと生命予後の評価が重要であろう.

  • 足達 信哉, 中村 壮臣, 岩澤 うづき, 藤沼 千尋, 関 隆実, 鯨岡 裕史, 中嶋 香児, 菅野 雅美, 當 富美, 豊岡 貴美江
    2026 年7 巻2 号 p. 161-164
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     【目的】糖尿病性神経障害は, 潰瘍, 感染, 壊疽から最終的に切断術に至ることもあるが, そのリスクファクターについての研究は少ない. 糖尿病外来患者における振動覚異常のリスクファクターは, 糖尿病罹病期間5年以上, 心疾患既往の有無 (狭心症, 心筋梗塞), 慢性腎臓病 (Stage 3以上) がある人と仮定し検討した.

     【対象と方法】2022年6月から2024年6月まで当院において糖尿病内科を受診した患者のうちフットケアが導入された130人の患者 (平均年齢67.4歳, 男性80人, 女性50人) を対象とした. 年齢, 性別, BMI, 糖尿病罹病期間, 糖尿病型, HbA1c, 治療 (内服) の有無, 治療 (注射) の有無, 心疾患の既往, 慢性腎臓病 (Stage 1 to 2とStage 3 to 5), 透析の有無, 振動覚低下などを評価し検討を行った.

     【結果】振動覚異常ありは51人/130人 (36.4%) であった. 有意であった項目は年齢 (p=0.009), 罹病期間5年以上 (p=0.038), 慢性腎臓病 (Stage 1 to 2とStage 3 to 5) (p=0.047) であった. 心疾患の既往 (p=0.188) は, 有意な傾向を示すにとどまった.

     【考察・結語】糖尿病外来患者における振動覚異常のリスク因子は, 年齢が高いこと, 糖尿病5年以上の罹病期間, Stage 3以上の慢性腎臓病であった.

実践報告
  • 泉 知美, 折田 恵美, 栗野 ひとみ, 岩下 龍史, 嘉川 亜希子, 石田 実雅, 新穂 涼子, 寺口 記代, 上山 逹典
    2026 年7 巻2 号 p. 165-171
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     透析患者の下肢閉塞性動脈疾患の悪化を早期に察知し, 患者個々のリスクに応じたフットチェック頻度を設定するため, WIfI分類クリニカルステージと臨床的重症化因子を組み合わせた看護師の評価可能なフローチャートを作成し, その有用性を検討した. 2023年10月~2024年10月に当院の外来透析を受診した患者を対象とし, ABI値, WIfI分類クリニカルステージ, 下肢の色調不良の有無, 糖尿病歴, 血行再建治療歴など10項目を評価基準としたフローチャートを用いてフットチェック頻度を決定した. 看護師はフットチェック毎にフローチャートを用いて頻度を更新し, 多職種で情報共有した. その結果, フットチェック頻度は対象者全体で低頻度に変化した一方で, 研究開始時点から終了時点にWIfI分類クリニカルステージの割合の変化は認められなかった. 対象者の血管内治療の紹介件数は1件から6件へ増加し, 新規下肢切断はなかった.

     今回作成したフローチャートを活用することで看護師が統一された視点でフットチェック頻度を設定し, 足病変の変化に医療チームで取り組み, 問題意識を共有することで, 早期発見と適切な対応につながったと考えられる.

  • 牛山 浅美, 中 正剛, 小島 淳夫, 田澤 賢一, 鎌田 順道, 野村 直樹, 山下 巌, 志村 信一郎
    2026 年7 巻2 号 p. 172-178
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     【目的】弾力包帯の形態的・物理的性質について比較検討した.

     【方法】製造元の異なる5種類の同等の機能をもつ弾力包帯10cm幅×4.5m (伸長) を使用した. 包帯の長さ (未伸長・伸長時・回復後), 厚さ, 質量, 糸密度 (たて・よこ), 収縮率, 伸長率, 伸長回復率と, 糸の太さ, 撚り数, 縮絨率について, 種類差や関係性を統計解析した.

     【結果】各項目の測定値は, たて糸密度以外, 種類による差を認めた (p<0.01). 日本製は海外製4種類に比べ, 伸縮性が高く, よこ糸密度, 厚さ, 質量いずれも高値であった. また, 伸長率と伸長回復率には, 包帯と糸の縮み率の影響が大きいことが示されたため, 糸の加工や織り方だけでなく, 縮絨加工の技術や工程も重要と考えられた.

     【結論】5種類の同等の機能をもつ弾力包帯においても性質の差を認めたことから, 各製品の特徴を理解することで, 使用目的や症例に応じて使い分ける選択肢になり得ると考える. しかしながら, 日本には包帯の公的な規格基準が定められていないため, 何らかの規定が望まれる.

資料
  • 永瀬 紗奈衣, 池田 清子, 髙木 廣文
    2026 年7 巻2 号 p. 179-187
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/05/31
    ジャーナル フリー

     【目的】足病の予防的・治療的フットケアでは多職種連携が不可欠であり, 多職種連携 (IPW) に基づいた連携が重要である. そこで, 連携調整の役割期待がある看護師のIPW実践能力と関連要因を検討する.

     【方法】全国750施設の代表看護師1名に質問紙調査 (2023年6-8月) した横断的研究である. IPW実践能力評価尺度 (CICS29) によるIPW実践能力と個人要因等を統計学的に分析した (有意水準5%).

     【結果】回収数324件 (回収率43.2%), 有効回答157件であり, IPW実践能力はt検定と一元配置分散分析の結果, 11項目で有意差が認められた. IPW実践能力を従属変数とした重回帰分析では, 不定期情報共有週1回以上, 慢性疾患看護専門看護師, 定期カンファレンス月1回以上, 連携職種数, 足病変の予防的指導, フットケア学習高頻度, 病床数200床未満, 皮膚・排泄ケア認定看護師, IPW学習経験の各変数が選択された (自由度調整済みR 2=.207).

     【結論】モデルの説明力は大きくないが, IPW実践能力向上のためには, 多職種との高い頻度の情報共有や, フットケアの専門的な実践と学習等が重要であることが示唆された.

日本フットケア・足病医学会 役員・評議員名簿
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