発話に対する不安が吃音を増強するかどうかを検証するため,吃音症状のある16名とない15名を対象に,実験室の外とつながる電話を活用した実社会に近い場面と実験室内の1対1の対面場面を設定して図形を説明する課題を行った。心理的指標としてSTAIによる状態不安,生理的指標として皮膚電導度(EDA)を計測し,吃音頻度と非流暢度との関係を解析した。その結果,吃音群では対面場面より電話場面で吃音頻度とSTAIが相関して上昇し,状態不安と吃音頻度との関係が有意であることが示された。主成分分析では吃音頻度の上昇にも軽減にも関連する主成分がEDAに含まれていることが示された。一般化線形モデルを活用した分析結果からは,状態不安が高い電話場面でのEDA上昇は吃音頻度の上昇に,状態不安が低い対面場面でのEDA上昇は非流暢度の減少に関連することが示された。これらの結果は状態不安の軽減が吃音頻度の軽減に関連する可能性を示唆する。