2004 年 2 巻 1 号 p. 1-9
今日インターネットを含むIT(information technology)が、遠隔地医療として多様に活用されている。看護においてもITを駆使した遠隔看護Telenursingが新しい看護のパラダイムとして登場している。筆者は、インターネット、電話、FAX、手紙により遺伝性疾患である常染色体優性多発性嚢胞腎患者・家族及び相談を必要としている人を対象に情報提供と相談を行ってきた。これまでに行った相談内容から、遺伝性疾患という特性をふまえ、Telenursingとしての相談の役割を検討した。その結果、実施してきた相談内容は、「情報提供」、「遺伝・疾患の理解の補助」、「療養上の助言」、「受診支援」「遺伝や病状に伴う不安・悩みへの対応」の5つにまとめられた。この相談は、専門職ボランティアとして、相談者が窮地に陥ったその時々にタイムリーに応じ、保健医療システムを補完する役割を果たしていた。特に遺伝性疾患のように、情報が得にくく、ある程度クローズドな相談が求められる場合には、ITを活用したTelenursingは有効な手段であると考えられた。