目的:日本の助産師養成課程における遺伝医療・遺伝看護に関する教育について、内容を明らかにすることを 目的とした。
方法:助産師養成課程を有する教育施設のホームページ及び閲覧可能なシラバスを対象とした。設置主体等の 基本データと、遺伝看護独立科目、臨床遺伝学独立科目、遺伝医療・遺伝看護に関する教育内容を含む科目各々の講義内容等の詳細データを収集した。遺伝医療・遺伝看護に関する教育内容を含む科目についてはキーワード設定、シラバス抽出、データ抽出という手順で行った。得られたデータを大項目、中項目、小項目に分類した。
結果:対象は211助産師養成課程中155課程( 73.5%)で、大学院38課程(24.5%)、大学専攻科・別科34課程 (21.9%)、大学81課程(52.3%)、短期大学専攻科2課程(1.3%)であった。遺伝看護学独立科目は4課程(1.9%)で開講され、『臨床遺伝学』『遺伝医療における支援』『出生前診断』『先天異常』『遺伝性腫瘍』の5つの大項目、9つの中項目、13の小項目が抽出された。臨床遺伝学独立科目は27課程(17.4%)で開講され、『臨床遺伝学』『遺伝医療における支援』『出生前診断』『着床前診断』『先天異常』『遺伝性腫瘍』の6つの大項目、19の中項目、44の小項目が抽出された。遺伝医療・遺伝看護に関する教育を有する科目は153課程(98.7%)で開講され、『臨床遺伝学』『遺伝医療における支援』『出生前診断』『着床前診断』『先天異常』『女性の健康と遺伝』『遺伝性腫瘍』の7つの大項目、24の中項目、79の小項目が抽出された。
考察:遺伝看護学、臨床遺伝学を独立科目として教授する課程は限定的であるが遺伝医療・遺伝看護に関する 教育内容は多くの助産師養成課程で教授されていることが明らかとなった。出生前診断の知識や支援方法だけでなく女性の生涯を通じた健康の支援のためにも遺伝医療・遺伝看護の知識は必須である。助産師養成課程だけでなく、看護基礎教育や卒後継続教育内容の充実を同時並行で検討することが重要である。
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