2023 年 22 巻 p. 24-33
背景:マルファン症候群(以下MFS)はFBN1遺伝子を原因遺伝子とする常染色体顕性遺伝(優性遺伝)性疾 患である。MFS患者において早期かつ適切に診断が行われることは生命予後に関係する心血管症状を防ぐために重要である。しかし現在もMFS患者は適切な早期診断がされておらず、予防的介入の状況に至っていない。
目的:MFS患者の診断経緯を明らかにする。
方法:MFS患者11名にMFSと診断された経緯について半構造化インタビューを実施し、Riessmanのナラティ ヴ分析に基づき分析を行った。
結果:MFSの診断経緯は【パターン1:自分でMFSの臨床症状に気づき、生命予後に関係するイベントをきっ かけに診断される】【パターン2:他者がMFSの臨床症状に気づいたことでMFSと診断される】【パターン3:自己や他者によるMFSの臨床症状の気づきが無く、家族内でのリスクコミュニケーションやライフイベントをきっかけに医療機関を受診し、MFSと診断される】という3つのパターンに分類された。
考察:MFS患者が生命予後に関わる心血管症状を発症する前に診断されるように、看護職の役割として、 MFSの症状に関する知識を持ち、MFSが疑われる患者やその家族が受診した際には適切なアセスメントを行い、関連職種との連携を取ることが重要であることが示唆された。また、MFS患者の家族内での遺伝情報の共有の状況を把握し、血縁者への情報共有の方法について検討する役割があると考える。受診のきっかけとなるような結婚などのライフイベントについてMFS患者の権利擁護者として意思決定を支援することも看護職の重要な役割であることが示唆された。