医薬分業が進み、薬局薬剤師は日常的にセルフメディケーションでのOTC医薬品(薬局やドラッグストアで販売している一般用医薬品、OTC= Over The Counter)の供給と共に、医療機関から処方された医薬品の供給を行っている。
令和6年元旦、午後4時10分に震度7、震源地を150km先の能登半島先端珠洲とした大きな地震が能登半島西岸の志賀町富来を襲った。高齢化率50%の志賀町富来では、居住者の多くが基礎疾患を有する高齢者であることから、家屋損壊によって服用薬をなくした被災者が多くいると想定された。今回の能登半島地震では、厚生労働省の事務連絡で特例が出ていたため、薬剤師にできることが多くあったことが特徴であろう。発災後2週間は、震度7地点の志賀町富来地区には、処方薬に対応可能な薬局は1店舗のみしかなかった。日本薬剤師会や石川県薬剤師会からの支援が届かないなか、1店舗2名の薬剤師で対応することとなった。今回のように、地域内の保険薬局が機能を維持し、アセスメントシートを使って患者をトリアージすることで、必要な患者のもとに迅速に薬を届けることができる。また、避難所にOTC医薬品を配置することは、被災者の不安を軽減するばかりでなく医療のひっ迫を抑えることにつながる。今後起こり得る災害時において、薬局薬剤師が初期活動を適切に行うことで保険医療の早期回復が可能となると考える。