頭頸部外科
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原著
当科における進行舌扁平上皮癌の治療
力丸 文秀松尾 美央子檜垣 雄一郎冨田 吉信
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2009 年 19 巻 2 号 p. 99-104

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抄録
進行舌扁平上皮癌の治療成績向上を目的とし,1997年以降当科では術前動注化学放射線治療および根治手術をあわせた集学的治療を施行している。今回その治療法の有効性を検証するために1997年1月から2005年12月までの進行舌扁平上皮癌症例につき,治療法の違いによる死因特異的生存率,再発率を検討した。生存率は集学的治療例の病期IIIは86%,病期IVでは68%であり,それ以外の治療が行われた症例はそれぞれ80%,50%であり,有意差は認めなかったが,集学的治療症例のほうが良い傾向であった。また一次根治症例の原発巣,頸部再発では集学的治療例は22%であったが,それ以外の治療が行われた症例では55%であり,両者に有意差はないものの集学的治療例のほうが少ない傾向にあった。また集学的治療で一次根治できた病期III症例は術後治療の有無に関係なく原発巣,頸部再発は認めなかったが,集学的治療で一次根治できた病期IV症例は術後治療を行っていても原発巣,頸部再発を30%に認め,術後治療内容の変更を考慮すべきであると考えた。
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© 2009 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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