抄録
2003年から2008年までの5年間に名古屋市立大学耳鼻咽喉科において初回治療を行った耳下腺悪性腫瘍症例16例を検討した。16例のうち術前の穿刺吸引細胞診で10例(71.4%)が悪性と診断された。術中迅速診断を9例に施行し8例悪性と診断された。穿刺吸引細胞診で悪性と診断されなかった6例のうち3例に術中迅速診断を行い2例悪性と診断された。14例に手術を施行し再発例は1例のみであった。主に穿刺吸引細胞診と術中迅速診断により術式が選択され治療成績は良好であった。術中迅速診断は悪性の有無の確認,手術治療方針の決定に有用であると思われた。