抄録
鼻に発生した痛風結節の1例を経験したので報告する。症例は53歳男性。鼻根部に徐々に増大する3cm大の腫瘤を認め,局所麻酔下に摘出術を施行した。摘出標本中に針状結晶とその周囲の異物炎が認められ,痛風結節と同様の病理組織所見であった。痛風結節は一般に急性関節炎の起きやすい足,膝,手指,肘関節に好発し,頭頸部領域では耳介にしばしば認められる。その他にも顎関節,胸鎖関節,脊椎,眼瞼,鼻,舌,喉頭,声帯などにまれに見出され,時には他の良・悪性腫瘍との鑑別診断に苦慮することもある。長期罹患中の高尿酸血症患者では,頭頸部腫瘤の鑑別診断として痛風結節を念頭に入れておく必要があるものと考えられた。