抄録
後天性中耳真珠腫の発生機序は未だ不明であるので,術後10年間で20~30%再発する。それ故,再発した場合に再手術が容易な術式かつ世界標準の術式が望まれる。当科では,atticotomy/scutumplasty,canal wall up法,canal wall down法の3つの基本術式で対処している。本稿ではそれぞれの術式の手技と適応,短所・長所を解説した。最近では,仕事にすぐに復帰を希望する方に,短期間で耳内が乾燥し通院回数の少ない術式,atticotomy/scutumplastyやplanned staged canal wall up法を施行している。最後に,いずれの術式においても,5~10年の長期観察が重要であることを述べた。