抄録
症例は31歳女性。右上顎洞から篩骨洞にかけて易出血性のもろい肉芽が充満していた。鼻腔と上顎洞から生検を行い,塗抹検査でガフキー1号,結核菌群PCRは陽性であり,鼻副鼻腔結核と診断した。
INH・RFP・EB内服およびSMネブライザーを2か月間行ったが画像上の改善傾向に乏しく,鼻副鼻腔根本術をおこなった。結核菌のように非メチル化DNAをもつ細菌では,死菌となってもホストのToll-like-receptor(TLR)9に結合し強力にサイトカインを誘導するため,炎症や肉芽が遷延することが考えられる。保存的治療を行っても病変の退縮が乏しい場合,根本術は有効な治療手段と思われる。