抄録
中咽頭側壁~上壁の広範切除後の再建には,患側咽頭後壁と健側軟口蓋後面を縫合するGehanno法が広く用いられているが,健側軟口蓋が切除される軟口蓋全摘出術後ではこの方法を用いることができない。そのため後口蓋弓の切除断端から咽頭後壁を尾側に向かって切開し,咽頭後壁を部分的に筒状に縫合することで鼻咽腔形成を行った。軟口蓋原発扁平上皮癌T3N3M0症例に対し軟口蓋全摘出術後,この方法で鼻咽腔を形成しraw surfaceを遊離組織移植で再建した。術後1か月以内に経管栄養が不要となり,気管孔を閉鎖し,術後化学放射線療法も計画通りに開始できた。術後2年6か月の現在も鼻咽腔閉鎖不全なく非担癌生存中である。