抄録
レーザー溶融粉末積層造形法によって作成した側頭骨の立体モデルを解剖の理解と手術手技の練習に応用した。削開実習の前後で削開技術の変化を評価した。参加者は耳鼻咽喉科研修開始後3~5年の医師8名と耳科専攻医1名である。削開の手順は,ケルナー隔壁,S状静脈洞,乳突洞から始まり,内耳を確認するまでとし,それぞれを確認するまでの時間を測定した。削開一回目と二回目の時間を比較した。削開終了までの時間は120~180分,耳科専攻医で70分前後であった。乳突側からキヌタ骨を確認するまでの時間が長くなる傾向があった。障害しやすい部位ではキヌタ骨,顔面神経,半規管が多かった。本モデルは側頭骨手術や解剖を習得するための初心者向け教材として有用であった。