抄録
めまいの保存的治療と外科的治療について,救急外来のめまい,薬物治療,難治性メニエール病への外科的アプローチを取り上げて解説した。救急外来でのめまい診療では,危険なめまいを見逃さないトリアージが大切である。めまいの薬物治療では本邦のみで常用されている薬物もあり,めまい患者の適正な診療のためにも,その有効性の再確認が望まれる。難治性メニエール病の第一選択は内リンパ嚢開放術であり,これでもめまい発作の制御ができない例に前庭神経切断術などが用いられる。メニエール病に対する鼓膜換気チューブ留置術や中耳の筋腱切断術などの低侵襲処置の有効性の報告もあるが,その確認にはさらなる検討が必要である。