頭頸部外科
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原著
当科における鼓膜再生外来の現況
表原 慶典白馬 伸洋暁 清文
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2013 年 23 巻 1 号 p. 55-60

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抄録
当科で鼓膜再生外来における,穿孔性中耳に対する,アテロコラーゲン膜/シリコン膜とbasic fibroblast growth factor製剤を用いた鼓膜再生治療について検討した。2009年7月から2011年6月までの2年間で鼓膜再生外来を受診した170耳,男性62耳,女性108耳を対象とした。年齢は13歳から96歳で平均64.4歳であった。経過中に脳梗塞発症にて継続治療が困難となった1耳を除く169耳における閉鎖率は,完全閉鎖した症例が139耳(82.2%),pin holeが残存した症例が12耳(7.1%),明らかな穿孔が残存した症例が18耳(10.6%)であった。完全閉鎖した139耳における閉鎖までの平均処置回数は全体では1.4回であった。鼓膜再生治療法は,従来の外来で行う接着法による鼓膜穿孔閉鎖術と同等の閉鎖率であり,有効な治療法であると考えられた。
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© 2013 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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