抄録
今回われわれは,当科で一次治療を行った中咽頭扁平上皮癌症例45例について遡及的検討を行った。T1-T3の症例には経口的咽喉頭部分切除術(TOVS)あるいは化学放射線療法(CRT)を行い,一部のT3,T4の症例には外切開手術あるいはCRTを行った。病期III,IV期ではTOVSがCRTと比べ3年疾患特異的生存率が有意に良好で,TOVSの局所制御率が優れていた。病期III,IV期のp16陽性群の3年疾患特異的生存率は,陰性群に比べ良好な傾向を示し,p16発現が進行癌における予後因子になりえることが示唆された。また,p16陰性群ではTOVSが予後向上に寄与しており,積極的に手術療法を行うことが望ましいと考えられた。