抄録
喉頭摘出後の気管孔再発に対する手術は,その管理の複雑さや難治性のため,頭頸部手術の中で最も厄介な手術のひとつとされている。67歳男性で,三重大学病院で治療を行った喉頭摘出後の気管孔再発例を報告した。腫瘍は気管に浸潤し,縦隔進展がみられた。Sisson分類によればタイプIIIの気管孔再発であったが,手術が施行され短くなった気管の延長と頸部皮膚欠損の充填するために大胸筋皮弁で再建を行った。さらに術後照射も問題なく施行された。喉頭摘出後の気管孔再発の予後は未だ悪いが,拡大切除と集中的な術後治療により癌治療の予後が改善される可能性がある。