2013 年 23 巻 2 号 p. 261-266
甲状腺囊胞などの頸部囊胞性疾患に対し経皮的エタノール注入術(Percutaneous Ethanol Injection Therapy,PEIT)を施行し,その効果について報告する。2005年より2012年までに当科でPEITを施行した症例は13例であった。男性4例,女性9例で年齢は33歳から95歳,平均55歳であった。臨床診断は甲状腺囊胞が11例,頸部リンパ管腫が2例であった。PEIT前の囊胞の大きさは体積換算で3mLから160mLで平均44mL,PEITは1回から4回,中央値で1回施行し,施行後22%から100%,平均89%縮小した。PEITの合併症は針抜去時の局所痛以外に認められなかった。甲状腺囊胞や頸部リンパ管腫に対するPEITは治療効果と合併症の頻度の点で有用な治療法であると考えられた。