抄録
高齢頭頸部癌患者は増加しているが,明確な治療指針はなく,治療の限界を症例毎に考えているのが現状である。そこで,過去10年間に当科を初診した75歳以上の頭頸部癌患者173例を対象に診療内容を解析した。
喉頭癌に対しては80%に根治治療が可能であった。一方,口腔・下咽頭・中咽頭癌に対する治療法の選択は複雑で,特に80歳以上で根治治療が可能であった症例は半数以下であった。両群とも根治治療が不可能な理由は併存疾患の存在であった。
以上から,高齢頭頸部癌患者への対応では併存疾患の評価が重要であると考えられた。また頭頸部癌治療後の,併存疾患の経過も加味した癌治療適応の判断が必要であると思われた。