抄録
胸部食道癌術後に,下咽頭頸部食道癌が発生した2症例を経験した。症例1は胸骨後,症例2は後縦隔経路で胃管による食道再建が行われていたが,両者ともに上縦隔に吻合部位が存在しており,さらに,頸部上縦隔にfull doseの照射歴を有する症例であった。症例1は咽頭喉頭頸胸部食道を頸部操作で摘出し,縦隔内で遊離空腸と残存胃管の吻合を行った。症例2は喉頭を温存し,胸骨を部分切除して残存頸部胸部食道を摘出し,遊離空腸と胃管の吻合を行った。縦隔内の吻合は器械吻合を採用した。2症例ともに術後経過は良好で,特に誤嚥が危惧された症例2も誤嚥なく経口を開始することができた。