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丸中 秀格, 赤木 祐介, 折田 頼尚
2013 年23 巻3 号 p.
313-316
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
左耳介の無痛性粉瘤様皮下結節にて来院した61歳女性メルケル細胞癌症例を経験した。耳介亜全摘・耳下腺浅葉切除・上頸部郭清術を施行後,術後放射線治療を追加した。現在術後5年経過しているが経過良好である。
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寺尾 恭一, 藤原 良平, 速水 康介, 森川 大樹, 北野 睦三, 土井 勝美
2013 年23 巻3 号 p.
317-321
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
上顎悪性腫瘍は多彩な病理組織型を認めるが,約半数を占める扁平上皮癌であれば,進行癌であっても眼球や口蓋などの温存を目的として,当科においても超選択的動注併用放射線療法が施行される頻度が増加している。しかし扁平上皮癌以外の組織型であれば,拡大切除を余儀なくされることが多い。今回われわれは,上顎炎症性線維肉腫inflammatory fibrosarcoma(IFS)の1例を経験したので報告する。上顎に発生したIFSは新しい疾患概念であり,頭頸部領域の発生はまれであるため診断に苦慮した。手術主体の方針で臨んだが,今後も慎重な経過観察が必要と考える。
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山下 拓, 冨藤 雅之, 荒木 幸仁, 塩谷 彰浩
2013 年23 巻3 号 p.
323-329
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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経口的アプローチが困難とされる舌根部病変を有する咽喉頭癌に対してTOVSを施行した19例を対象に,治療成績・機能予後を検討し,アプローチの工夫についても考察を加えた。主たる亜部位は中咽頭側壁11例,中咽頭前壁5例,声門上部3例であった。T分類はT1:3例,T2:9例,T3:7例,T4:0例で,頸部郭清は11例(57.9%)に,気管切開は1例(5.3%)に,術後放射線治療は8例(42.1%)に施行された。再建手術を行った症例はない。2年粗生存率,疾患特異的生存率,局所温存率は全て100%であった。FOSS stage 0-2であった症例が18例(94.7%)と術後嚥下機能の面でも良好であった。TOVSによる舌根切除は,その適応を厳密に考慮すれば,根治性・機能温存の双方に寄与する有用な治療法である。
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益田 宗幸, 江頭 明典, 井上 要二郎, 永田 良三郎, 原 奈津貴, 清原 英之, 松尾 美央子, 力丸 文秀, 麻生 丈一朗, 檜垣 ...
2013 年23 巻3 号 p.
331-335
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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胸部食道癌術後に,下咽頭頸部食道癌が発生した2症例を経験した。症例1は胸骨後,症例2は後縦隔経路で胃管による食道再建が行われていたが,両者ともに上縦隔に吻合部位が存在しており,さらに,頸部上縦隔にfull doseの照射歴を有する症例であった。症例1は咽頭喉頭頸胸部食道を頸部操作で摘出し,縦隔内で遊離空腸と残存胃管の吻合を行った。症例2は喉頭を温存し,胸骨を部分切除して残存頸部胸部食道を摘出し,遊離空腸と胃管の吻合を行った。縦隔内の吻合は器械吻合を採用した。2症例ともに術後経過は良好で,特に誤嚥が危惧された症例2も誤嚥なく経口を開始することができた。
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渡部 佳弘, 小澤 宏之, 行木 英生
2013 年23 巻3 号 p.
337-341
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
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舌根部に発生した小唾液腺由来の高分化型粘表皮癌を経験した。唾液腺悪性腫瘍の発生頻度は全唾液腺腫瘍の1%未満とされており,小唾液腺由来の悪性腫瘍はさらに少なく,中でも舌根部に発生した粘表皮癌は非常にまれである。
症例は69歳女性,主訴は嚥下困難で,中咽頭を占拠する腫瘤性病変を舌根部に認めたため紹介受診となった。複数回の生検による術前診断が多形腺腫であったことから口内法により腫瘍を全摘出したが,確定診断は高分化型粘表皮癌であった。
経過は良好で,術後12か月を経過した現在,再発を認めていない。
舌根部に生じた唾液腺粘表皮癌に対する診断の困難さ,腫瘍の分類,手術アプローチ法について報告した。
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小村 豪, 小林 謙也, 齊藤 祐毅, 蝦原 康宏, 朝蔭 孝宏, 山岨 達也
2013 年23 巻3 号 p.
343-348
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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放射線治療後局所再発・残存に対し救済手術を施行した中咽頭癌症例について,その治療意義を明らかにすることを目的に検討した。
2001/4から2011/6の間に当科で根治的(化学)放射線治療を行った中咽頭癌108例中,局所再発・残存を27例に認めた。内,救済手術を行った20例を対象とし後向きに検討した。初回照射線量は60~72Gy,化学療法は同時/導入/動注/なし:10/4/3/3例,原発亜部位は上/側/前壁:3/9/8例であった。
術後観察期間は1~131か月(中央値11か月),術後2年生存率は36%であった。上・側壁例(10%)と比べ,前壁例(73%)の方が有意差をもって,予後良好であった。
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岩江 信法, 平山 裕次, 手島 直則, 古川 竜也, 森田 成彦, 米澤 宏一郎
2013 年23 巻3 号 p.
349-355
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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正中下口唇下顎骨舌切断法は,舌根部・喉頭蓋・咽頭後壁・斜台・頸椎などへのアプローチ法の一つである。今回,舌根部癌照射後再発に対して同アプローチでの救済手術をおこなった。症例は52歳男性で舌根部癌(T4aN2cM0)化学放射線療法後に原発巣再発をきたし,同法を用いて腫瘍切除をおこない良好な経過を得ている。初回治療として施行した舌根部癌2症例との比較でも術後経過はほぼ同様であった。解剖学的に外側から流出入する血管・神経・リンパ管を損傷することなく,また再建を要さず嚥下機能温存が可能という点からも,初回根治治療時のみならず化学放射線治療後再発症例に対しても有効な治療手段となり得るものと思われた。
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小野 貴之, 吉積 隆, 小尾 俊太郎, 平野 浩一, 海老原 敏
2013 年23 巻3 号 p.
357-361
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
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フリー
頭頸部領域への転移癌はまれであり,さらに喉頭の軟骨への転移は非常にまれである。今回輪状軟骨に転移した肝細胞癌の1例を報告する。症例は62歳の男性,5年半前より肝細胞癌の治療を受けていた。主訴は診断される3か月前からの咽頭違和感と2週間前から進行する呼吸困難で当科へ依頼となった。頸部CTでは輪状軟骨内に腫瘍性病変を認めた。また,喉頭内視鏡検査では声門下狭窄所見を認めた。他臓器への多発転移もあり,気管切開術と吸引細胞診を施行した。最終診断は肝細胞癌の転移であった。36Gy(3Gy/回)の放射線治療を施行した。放射線治療後1か月で原病死した。若干の文献的考察と転移性喉頭癌の治療について述べる。
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小野 貴之, 吉積 隆, 平野 浩一, 大山 和一郎, 海老原 敏
2013 年23 巻3 号 p.
363-368
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
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フリー
佐々木研究所附属杏雲堂病院で2007年4月より2012年3月までの期間に喉頭癌に対し喉頭垂直部分切除術を施行した12例に対し臨床的に遡及的検討を行った。症例は全て男性,年齢の中央値は68歳(61~88)。6例は初期治療で5例が放射線治療後再発,1例がTAR療法中の腫瘍遺残に対し手術を施行した。1例が前方切除,10例が前側方切除,1例が拡大切除であった。rT2の3症例が声門周囲腔浸潤を認め,全例pT3の結果であった。合併症は軟骨壊死が2例,血腫2例,蜂窩織炎が1例であった。1例に局所再発を認め,術後に誤嚥のため喉頭全摘術を施行した。喉頭温存率は91.7%であった。rT2はpT3の可能性が高いことを念頭に入れて手術する必要があると考えられた。
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山田 弘之, 福家 智仁, 福喜多 晃平, 荒木 真美佳, 杉山 智宣
2013 年23 巻3 号 p.
369-373
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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反回神経浸潤を認めた甲状腺乳頭癌に対して,1本の神経線維束を温存し得たものの,術後声帯麻痺を生じた症例を提示した。術後6か月以上経過した時点においても,声帯の可動性は回復せず,麻痺側声帯は顕著な萎縮を認めた。麻痺の回復が悲観的であったため,術後7か月目に,披裂軟骨内転術と,反回神経再建を併施した。手術は,甲状軟骨翼を鉗除し,披裂軟骨筋突起を前下方に牽引すると同時に,近傍を走行する反回神経末梢端へ同側の頸神経ワナを吻合した。術前0秒であったMPTは,術直後に7.7秒に改善した。術後6か月目からはさらに改善し,術後2年の時点で,MPTは18秒まで延長した。
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向山 宣昭, 横井 久
2013 年23 巻3 号 p.
375-379
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
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濾胞樹状細胞肉腫(FDCS)は,リンパ濾胞内の抗原提示細胞である濾胞樹状細胞から発生するまれな腫瘍である。症例は65歳男性で左頸部の腫瘤で他院を受診した。初診から7か月後に生検を施行しFDCSと診断され当院へ紹介された。腫瘍は左副神経領域に存在し,直径45mm大で,胸鎖乳突筋を超え皮膚に浸潤していた。治療は頸部郭清術が行われた。切除断端は陰性であり術後補助治療は施行せず,現在まで術後2年以上経過しているが再発は認めていない。本疾患は低~中等度悪性であり,局所再発23~43%,遠隔転移21~24%との報告もある。
今後,再発や遠隔転移について厳重に経過観察する必要がある。
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森 智昭, 嶋根 俊和, 金井 英倫, 櫛橋 幸民, 寺崎 雅子
2013 年23 巻3 号 p.
381-385
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
術前の細胞診では神経鞘腫の確定診断には至らなかったが,術中所見により顔面神経鞘腫と診断した症例を報告する。症例は30歳男性,半年前から右耳下部の腫脹を自覚し徐々に大きくなってきたため当科を受診。初診時には触診で右耳下部に径3cmの可動性の腫瘤を認めた。精査目的に超音波検査を施行し,同時に施行した穿刺吸引細胞診で神経由来腫瘍も否定できない結果であったため,神経鞘腫の可能性も考慮しながら手術を施行した。術中に腫瘍と顔面神経の関係から顔面神経鞘腫と診断し,被膜間摘出術で腫瘍を摘出した。術後に柳原法で20/40点の顔面神経麻痺を認めたため,コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム,アデノシン三リン酸ナトリウム水和物,メコバラミンを投与して経過を見ていったところ,術後2か月で麻痺は32/40点まで回復し,現在も外来で経過観察中である。
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植木 雄司, 間多 祐輔, 今野 昭義
2013 年23 巻3 号 p.
387-391
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
われわれは術後に施行したFDG-PET検査で判明した甲状腺乳頭癌ルビエールリンパ節転移4症例を経験した。治療方法は外科切除による転移リンパ節の摘出を行った。いずれも転移リンパ節径が10mm弱と比較的早期に発見されたため,1例は経頸部法で他2例は経頸部法に経耳下腺法を併用することで下顎骨離断術を行わずに転移リンパ節を摘出できた。3例中2例で術後に一過性の舌咽神経麻痺による嚥下障害がみられたが,6週間後に嚥下可能となった。ルビエールリンパ節転移の発見にFDG-PET検査は有用と考えられた。
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榎本 圭佑, 長井 美樹, 武田 和也, 原田 祥太郎, 榎本 敬恵, 坂田 義治
2013 年23 巻3 号 p.
393-398
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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喉頭や気管の内腔に浸潤した甲状腺癌は,喉頭や気管の合併切除を行う事で切除可能であるが,喉頭や気管の一部を失い,皮膚瘻の閉鎖には再建を要する。一期的もしくは二期的な再建手術がなされるが,当センターでは可能な限り一期的な再建を施行している。平成23年4月から平成25年3月に気管もしくは喉頭内腔へ浸潤した甲状腺癌5例の一期的切除再建を施行した。4例で一期的な切除再建を行い,1例は両側反回神経麻痺のために気管皮膚瘻とした。2例にて術後嚥下障害で長期入院と嚥下リハビリを要した。吻合不全などの致命的な合併症は経験しなかった。喉頭や気管内腔浸潤した局所進行甲状腺癌に対し,一期的切除再建法は有用な治療法である。
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谷山 岳司, 杉山 智宣, 荒木 真美佳, 福喜多 晃平, 山田 弘之, 細井 裕司
2013 年23 巻3 号 p.
399-402
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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腎細胞癌は血流に富み,遠隔転移しやすい癌として知られており,頭頸部領域への転移も決してまれではない。われわれは腎細胞癌の初回治療から10年近くの期間を経て耳下腺に転移し,耳下腺に対して手術加療を行った症例を経験したので報告する。転移性耳下腺腫瘍の術前診断において,画像検査や穿刺吸引細胞診などの検査では診断の確定が困難であり,腎癌の既往がある症例では,たとえ長期間経過していたとしても常にその転移の可能性を念頭におく必要があり,治療については予後やQOLを考え,個々の症例に応じた治療を行う必要があると考える。
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植木 雄志, 渡辺 順, 橋本 茂久, 髙橋 姿
2013 年23 巻3 号 p.
403-408
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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唾液腺導管癌(salivary duct carcinoma,以下SDC)の中でも顎下腺原発はまれである。今回顎下腺原発SDC 4例につき検討を行った。治療前の病期分類はstage Iが1例,Stage IIが2例,Stage IVaが1例であった。術前細胞診断で悪性を疑いえたのは1例のみで,術中迅速診断でSDCの疑いが1例,他の3例は悪性の診断であった。HER-2の過剰発現が3例にみられた。全例で頸部郭清術に加え術後照射が行われたが,3例で遠隔転移をきたし,2例は原病死した。SDCは集学的治療を行ってもなお予後不良の疾患であるが,HER-2の過剰発現が高頻度にみられることから,Trastuzumabなどの分子標的薬剤による新しい治療法の確立が期待される。
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本多 啓吾, 安里 亮, 神田 智子, 辻 純, 辻村 隆司, 渡邉 佳紀, 森 祐輔
2013 年23 巻3 号 p.
409-414
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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頸部郭清における頸神経温存は頭頸部癌の低侵襲治療のための新しい選択肢である。その機能的意義についてはいくつかの報告があるが,術後早期における知覚予後についての知見は少ない。2012年1月から2013年3月までにわれわれの施行した頸部郭清のうち,頸神経本幹(C2-4)を全て温存したのは47側(温存側群),全切除したのは20側(切除側群)であった。術後1週間以内に耳垂,顎下部,側頸部の3領域で触覚を検査した。結果,3領域全てにおいて,温存側群の知覚予後が有意に良好であり,頸神経の温存効果が術後早期からあることが示された。
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中村 哲, 石永 一, 大津 和弥, 宮村 朋孝, 竹内 万彦
2013 年23 巻3 号 p.
415-418
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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胸鎖乳突筋内に生じた顆粒細胞腫例を経験したので報告する。症例は61歳女性。主訴は右鎖骨上の無痛性腫瘤。右鎖骨骨頭直上に,2cm大で,やや硬く可動性不良な腫瘤を触知した。頸部エコー,頸部造影CT所見にて右胸鎖乳突筋内に腫瘤を認めた。全身麻酔下に腫瘍切除術を行い,術後病理診断にて顆粒細胞腫と診断された。免疫染色では,S100およびCD68陽性であった。明瞭な核小体や核の多形性を認めた。現在術後2年6か月が経過しているが,再発・転移を認めていない。胸鎖乳突筋に生じた顆粒細胞腫例は,渉猟しえた範囲で,本邦の報告ではこれまでに1例が報告されているのみであり,非常にまれであると考えられた。
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嶋根 俊和, 下鑪 裕子, 中村 泰介, 森 智昭, 五味渕 寛, 池谷 洋一, 秋山 理央, 河村 陽二郎, 小林 斉
2013 年23 巻3 号 p.
419-423
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
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頸部神経鞘腫は比較的まれな疾患であるため,耳鼻咽喉科,頭頸部外科医師個人の経験症例数はそれほど多くなく偏りがあると考えられる。摘出には神経機能温存目的に被膜間摘出術が行われているが,その手術手技に関しては経験が必要である。今回,同一術者が被膜間摘出術を行った頸部神経鞘腫23例について臨床的に検討した。
結果は,術後の神経機能温存のためには被膜間摘出術は有効であり,術後の神経脱落症状に関しては,手術手技が関係していることが推測された。また由来神経による術後神経脱落症状の発生しやすさについては不明であり,耳下腺内神経鞘腫に対しても被膜間摘出術を行うことで一過性麻痺が生じただけで摘出することができ,経過観察ではなく手術という選択肢も検討されるべきと考えられた。
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石永 一, 宮村 朋孝, 大津 和弥, 中村 哲, 竹内 万彦
2013 年23 巻3 号 p.
425-429
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
鎖骨上窩に進展した進行甲状腺乳頭癌の1例を報告する。患者は55歳男性で左前頸部腫脹を認めていた。術前のCT画像では腫瘍は左鎖骨下静脈を下方へ圧排している所見を呈しており浸潤が疑われていた。腫瘍は胸鎖乳突筋を切断するtransmanubrial osteomuscular sparing approachの変法にて切除された。術後経過は良好で左上肢挙上障害は認めなかった。患者は術後1年4か月の時点で再発無く経過観察中である。
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浅田 行紀, 松浦 一登, 嵯峨井 俊, 今井 隆之, 斉藤 大輔, 西條 茂
2013 年23 巻3 号 p.
431-434
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
今回われわれは,ブラウン腫瘍(囊胞性線維性骨炎)によって見つかった副甲状腺腫瘍の1症例を経験したので報告する。症例は49歳女性で腰痛,背部痛,左肋骨部の疼痛にて当科紹介された。精査の結果,全身に多発性溶骨性病変を認めた。骨病変は充実性であり,囊胞性変化は判然としなかったため,転移性腫瘍などとの鑑別を目的として骨生検を施行し,brown tumorの診断を得た。CT,エコーにて甲状腺に多発性腫瘤があり,副甲状腺腫瘍も確認したため,甲状腺半切,副甲状腺腫瘍の切除術を施行した。brown tumorによる腰痛,背部痛は,約6か月で改善し,術後9か月後のCTにて溶骨性変化を起こしていた病変がほぼ完全に硬化しているのが確認された。
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三上 慎司, 岡本 英之, 西川 大祐, 太田 一郎, 桝井 貴史, 山中 敏彰, 細井 裕司
2013 年23 巻3 号 p.
435-443
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
頭頸部領域はその解剖学的位置から口腔・咽頭領域の手術操作によって術後合併症として頸部と口腔・咽頭腔の間が繋がり瘻孔を認めることがある。瘻孔を形成すると,唾液の暴露による創部感染を繰り返し治療に長期間要することも少なくない。今回,頭頸部領域の術後に陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy: NPWT)を使用した症例を経験した。いずれの症例も陰圧負荷が可能であり,感染の悪化なく瘻孔の閉鎖が可能であった。NPWTは,処置回数の軽減・皮膚炎の軽減によるQOLの改善につながり,頭頸部領域の術後の合併症においても適応を慎重に行えば有用な治療選択肢になると考えられた。
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福田 裕次郎, 花井 信広, 小澤 泰次郎, 平川 仁, 鈴木 秀典, 小出 悠介, 木村 隆浩, 別府 慎太郎, 中多 祐介, 西川 大輔 ...
2013 年23 巻3 号 p.
445-450
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
目的:頭頸部癌術後せん妄の発症関連因子を解析し,その予測ができるかを検討した。対象と方法:2011年1月から2012年6月までに再建術を受けた患者150名(男108名,女42名,年齢中央値65歳)に対して後方視的に調査した。術後せん妄は腫瘍精神科医の診断により確定した。結果:術後せん妄は150例中13例(8.7%)に発症した。平均発症日は術後7.6日,平均持続期間は17.8日であった。多変量解析で手術時年齢75歳以上(p<0.01),ASA3以上(p=0.04)が発症予測因子であった。結論:年齢,ASAを予測因子とし,今後は術後せん妄発症予防を目的とした検討が課題である。
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西川 大輔, 花井 信広, 小澤 泰次郎, 平川 仁, 鈴木 秀典, 小出 悠介, 福田 裕次郎, 木村 隆浩, 中多 祐介, 別府 慎太郎 ...
2013 年23 巻3 号 p.
451-454
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
ジャーナル
フリー
多剤耐性菌の院内感染は,抵抗力の低下した患者への感染を引き起こすのみならず,社会問題となる可能性がある。当科では標準的な予防策の徹底のみならず頭頸部外科特有の問題点に着目し,病棟での処置方法の見直しを2010年1月から行った。対策の有効性を評価するために2007年5月から2011年12月までの当科におけるMethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)の検出率を調査し対策開始前後で比較した。その結果MRSAの検出率は2009年には2.1%であったものが,2011年には0.8%と低下し,対策が有効に機能したことが示唆された。今後より一層の対策や,アルコール抵抗性の菌種での対策法の検討が必要であろう。
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高橋 由佳, 草野 純子, 村井 紀彦, 楯谷 一郎
2013 年23 巻3 号 p.
455-459
発行日: 2013年
公開日: 2014/03/29
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頸部リンパ節細胞診でパパニコロウ分類に代わる新報告様式の有用性を検討した。6年間に頸部リンパ節生検を施行した88例中,33例が細胞診を施行,十分な質の標本のみに陰性,鑑別困難,陽性疑い,陽性中の1つの判定を与えた。細胞診施行群の病理診断は悪性リンパ腫20,反応性8,結核3,上皮性腫瘍2例(うち悪性1)。細胞診の感度,特異度は55,100%。鑑別困難例はパパニコロウ判定では全例クラスIII,悪性疑い例は全例クラスIVで,新方式はパパニコロウ同等の感度,特異度を有すると考えられた。新方式では鑑別困難というカテゴリー名により,病変が細胞診ではそれ以上の評価が不能であることを臨床医に的確に伝えられる。
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