抄録
佐々木研究所附属杏雲堂病院で2007年4月より2012年3月までの期間に喉頭癌に対し喉頭垂直部分切除術を施行した12例に対し臨床的に遡及的検討を行った。症例は全て男性,年齢の中央値は68歳(61~88)。6例は初期治療で5例が放射線治療後再発,1例がTAR療法中の腫瘍遺残に対し手術を施行した。1例が前方切除,10例が前側方切除,1例が拡大切除であった。rT2の3症例が声門周囲腔浸潤を認め,全例pT3の結果であった。合併症は軟骨壊死が2例,血腫2例,蜂窩織炎が1例であった。1例に局所再発を認め,術後に誤嚥のため喉頭全摘術を施行した。喉頭温存率は91.7%であった。rT2はpT3の可能性が高いことを念頭に入れて手術する必要があると考えられた。